榊原社長は、「1970年前後から日本の合成繊維メーカーは主な需要先となる韓国に先を争って進出したが、現在は東レ以外の会社は撤退した。それだけ韓国での事業は日本企業にとって難しかった」と述べた。
撤収の第一の要因として経営方針の違いを挙げ、「韓国人はとにかく『早く早く』の気質があり、利益においても短期的な利益に非常に執着し、設備投資などの経営判断も日本側から見ると無謀に見えるほどに早い。また、大規模投資を決めたがった」と紹介した。これに対し、日本は韓国をグローバル化のひとつの拠点として捉え、バランスを取りつつ経営しようとしたため、韓国からしてみれば日本企業は非常にスピードが遅く感じられたと説明した。「結果的には大々的な増設といった韓国の経営判断が正しかった部分もあったが、当時はことあるたびに衝突していたようだ」と述べた。
榊原社長は、撤収に至った第二の要因は経営者同士の信頼関係の欠如にあったと指摘、信頼がなければささいな利益衝突が重なり合併を維持し辛くなると説明した。また第三の要因として、労働組合が強くストライキが頻発する韓国の状況を指摘した。
一方で、東レが韓国市場から撤収せず事業を拡大できた理由についても分析した。短期的な利潤追求でなく長期的な視点で韓国の産業振興、輸出拡大、技術水準向上に寄与するとの考えで事業を経営している点、合併企業の両国親会社経営者が長期にわたり信頼・協力関係を維持している点などがその秘策だと説明している。
また世界的な景気低迷にも触れ、韓日が緊密に提携していけば、世界有数の経済国、経済圏として世界経済で影響力のある地位を確立できると強調した。
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