韓国開発研究院(KDI)のイ・ソク副研究委員は31日、「南北交易の変化と南北関係行き詰まりの経済的背景」と題した報告書で、過去に南北貿易が北朝鮮の対外取引に与えた影響力を基に、こうした見通しを示した。また、北朝鮮の圧迫に伴い南北関係の不安も続くと予測した。
イ委員は、2000年代中盤以降、南北貿易は北朝鮮の対外取引全体を維持・拡大する上で中心的な役割を果たしたが、こうした状況は昨年第4四半期を境に反転したと分析する。北朝鮮は昨年3~4月、対北朝鮮支援など非商業的な南北貿易が70%以上急減したため当局対話を拒み、5~7月に貿易黒字が減少しことを受け金剛山観光に対する強硬措置を取った。続いて10月からは、南北貿易の総額が20%以上減少したことを受け軍部を前面に押し出しながら開城工業団地を閉鎖するよう脅かすという、経済的恵沢の変化に合わせた反応を示した。
イ委員は「昨年第4四半期における南北貿易の急減は、金融危機に伴う韓国の全般的な対外取引不振の影響を受けたもの」とし、1997年の通貨危機以降も取引による南北貿易は最大40%まで下落したと説明した。これに伴い北朝鮮の外貨収入も大幅に減少すると予想した上で、「これを中朝貿易で相殺することもできるが、むしろ南北貿易を通じた外貨獲得の減少は中朝貿易自体を委縮させることもあり得る」との考えを示した。また、こうした側面から北朝鮮は開城工業団地の閉鎖や一般貿易に対する制限措置など経済的圧迫手段は取らない可能性が高いとの見方を示した。
現在、北朝鮮が講じることができる方策は「通貨危機時のように韓国の対北朝鮮支援を拡大させ、全般的な南北貿易低迷を中和させること」だとし、ことしに入りさらに強硬になった北朝鮮の韓国に対する態度も対北朝鮮支援を引き出す意図があると判断した。
韓国の対北朝鮮戦略については「待つという戦略はことしから北朝鮮に実質的に影響を与えることになる」としながらも、北朝鮮がさまざまな非経済的手段を動員し、圧迫しようとしていることから南北関係が予測できないため、無条件に望ましいとは言えないと述べた。
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