【ソウル23日聯合ニュース】盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の逝去は、政局にも少なくない波紋を引き起こすことになりそうだ。全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領が在任中の裏金問題などで大統領退任後に拘束されており、韓国政治史上、前職大統領の「受難」は異例のことではないが、検察の捜査の刃の前に自ら命を絶ったという盧前大統領のケースは、類のないものだ。
 盧前大統領逝去の悲報に接した政界関係者らは、衝撃と悲痛を隠せずにいる。今後の事態が政局に及ぼす波長については、一寸先の予測も困難な状況だけに、一様に「わからない」「考えをまとめる時間がほしい」と述べ、予断を避ける姿勢だ。しかし、盧前大統領逝去に伴う民心の流れが、今後、政局を左右する最大変数になるとの見方に大きな異論はないようだ。

 今回の事態はいかなる形であれ、与党勢力にとり負担にならざるを得ないとみられる。民心の動きと野党勢力の反発度などによっては、政界の争点として浮上する素地もある。

 法務部は盧前大統領に対する捜査の終了を宣言したが、野党は「朴淵次(パク・ヨンチャ)ロビー事件をめぐり、旧与党勢力を狙った偏った捜査を行っている」と主張しており、今後、さらに攻勢を強める可能性は排除できない。しかし、事態の衝撃の大きさを考慮すれば、今後の政局は「予測不可能」という表現がぴったりだというのが、政界の一致した見解だ。

 こうした重みのなか、政界は23日朝から緊迫した動きを見せている。青瓦台(大統領府)は盧前大統領逝去の知らせを受け、即時に鄭正佶(チョン・ジョンギル)大統領室長の主宰で緊急会議を開き、対策を話し合った。李明博(イ・ミョンバク)大統領も午前7時20分ごろ官邸で事故の報告を受けたと伝えられた。豪州訪問中のハンナラ党の朴ヒ太(パク・ヒテ)代表は、残る日程をすべて中止し24日に急きょ帰国することを決めた。ハンナラ党、民主党、自由先進党など各党は、悲痛さを隠せないまま緊急会議を招集し、対策をまとめた。

 尹汝雋(ユン・ヨジュン)元議員は、聯合ニュースの電話取材に対し「国民が今回の事態をどう受け入れるかが、政界への波及を左右する」との考えを示した。与党勢力がこの事態を負担として抱え込むか、その場合、どの程度どのように抱え込むのかは、民心にかかっているとし、政界であれこれ語ることに意味はなく、重要なのはあくまで民心だと強調した。

 政局に及ぼす波紋は、国民が盧前大統領と周辺人物らに対する強力な捜査と、その結果として現れた盧前大統領の自殺をどう受け入れるかがカギだということだ。盧前大統領同情論が起きたり、朴淵次ロビーへの反感世論が浮上すれば、波紋は拡大の一途をたどる可能性がある。検察の捜査力が弱まり、与党勢力の国政運営に負担を与える可能性も排除できないとの見方も出ている。さらに、朴淵次ロビー事件に対する「均衡捜査論」が持ち上がる可能性もある。最大野党の民主党が今回の事態を対与党攻撃の材料とすれば、その波紋が6月国会と10月の再・補欠選挙に及ぶ公算もある。

 これに関連し民主党は、民心の流れを見守りつつ与党勢力関係者に対する迅速かつ全方位での捜査を求めるとともに、強力な対与党攻勢に出る構えだと伝えられる。
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