開城工業団地の生産品を積んで韓国に戻る貨物車=26日、京畿道・坡州(聯合ニュース)
開城工業団地の生産品を積んで韓国に戻る貨物車=26日、京畿道・坡州(聯合ニュース)
【ソウル26日聯合ニュース】韓国政府が大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への全面参加を公式的に発表したことに対し、北朝鮮がこれまでの警告通り「宣戦布告」とみなし、軍事的対応も辞さないなど強く反発することが予想される。
 北朝鮮は3月30日に祖国平和統一委員会報道官の談話を通じ、韓国政府がPSIに全面参加する場合は「宣戦布告」とみなし、直ちに断固たる対応措置を取ると警告し、朝鮮人民軍総参謀部も先月18日に同様の主張を繰り返しながら、ソウルが軍事境界線からわずか50キロメートル前後に位置していることを忘れてはならないと脅かした。北朝鮮はPSIを海上封鎖ととらえているため、北朝鮮の反発は単なる脅かしにとどまらず、南北間で緊張度を大きく高め実際の葛藤(かっとう)と衝突につながる可能性が大きい。
 さらに、韓国政府が北朝鮮の長距離ロケット発射に対する制裁レベルで国連安保理議長声明採択の主導国として参加したほか、今回の核実験に対してもPSI全面参加の発表を通じ対北朝鮮圧迫の先頭に立ったことは、北朝鮮を一層刺激することになるとみられる。
 金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康不安の中、ことしに入って対韓専門担当は、朝鮮労働党の統一戦線部の代わって国防委員会と軍総参謀部など軍部が行っている。北朝鮮の軍部が前面に乗り出し強硬対応策を取っているだけに、今後は南北間で軍事的緊張が一触即発の水位にまで達する可能性も排除できない。
 北朝鮮は韓国側のPSI全面参加に対し、休戦協定第15条違反と主張する可能性もある。第15条で「韓国(韓国と北朝鮮を指す)に対しいかなる種類の封鎖もできない」と明示されているためだ。
 北朝鮮軍部はPSI全面参加を宣戦布告とみなしているだけに、「戦時状態」を口実に軍事境界線の通行を遮断し、開城工業団地の韓国側人員が孤立する状況が生じる可能性もある。さらには、団地の閉鎖を公式発表する可能性も排除できない。北朝鮮による現代峨山社員の抑留問題も長期化するとみられる。平和問題研究所のチャン・ヨンソク研究室長は、韓国のPSI全面参加は、軍事境界線を遮断し開城工業団地を閉鎖する口実を北朝鮮に提供するきっかけになると指摘。開城工業団地問題は事実上、経済問題ではなく政治・軍事的な問題に転換する可能性が大きいと懸念した。
 北朝鮮はまた、南北間で締結されている海運合意書の無効化を宣言する可能性もある。韓国政府は、PSIが新たな法体系ではなく既存の国内・国際法に基づいた国家間協力体であるため、韓国が全面参加したからといって特に変わることはないとの立場だが、北朝鮮はこの合意書を無効化することによって南北関係破たんの責任を韓国側に転嫁する可能性があるとの指摘だ。
 しかし、何より懸念されるのは、黄海の北方限界線(NLL)周辺海域で軍事的衝突を起こすなど、陸・海上で局地・制限的な軍事対応措置に乗り出す可能性だ。すでに北朝鮮は25日午前の核実験後、午後には東海上で短距離ミサイルを発射し、26日にも黄海上で短距離ミサイルを発射する兆候を見せている。
 北朝鮮軍は、ことしに入り韓国側と隣接した海州と甕津半島地域に集中配置した海岸砲の訓練回数を増やしており、金総書記が異例的にことし1~3月、毎月1回砲兵部隊を視察したほか、砲射撃訓練を参観したりもした。
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