事故の原因となった北朝鮮・臨津江のダム推定地域。非武装地帯(DMZ)北側約27キロメートルの地点に位置している=(グーグル=聯合ニュース)
事故の原因となった北朝鮮・臨津江のダム推定地域。非武装地帯(DMZ)北側約27キロメートルの地点に位置している=(グーグル=聯合ニュース)
【ソウル9日聯合ニュース】北朝鮮が6日早朝に臨津江上流の黄江ダムを韓国側に事前通知なく放流したことに、軍部が直接・間接的に関与していた可能性が提起された。北朝鮮・朝鮮人民軍のダム放流介入が事実と判明した場合は、北朝鮮による「水攻め」の脅威が現実のものとなり、南北関係だけでなく軍事的に相当の波紋を呼ぶことが予想される。
 政府当局の高官関係者は8日、北朝鮮が軍事境界線(MDL)北朝鮮側地域に設置されている大型ダムの水門を開放するには、該当地域の朝鮮人民軍部隊または上級部隊の協力が必要になり、今回の黄江ダム水門開放にもどのような形であれ軍部が介入したものとみられると話した。韓国側に近接した地域のダムで大量の水を放流する行為は、軍事的関連がある可能性があり、軍部隊の事前協力を受けなければならないはずとの見方だ。ダムの管理主体が北朝鮮のどの機関かに関係なく、近接地域で水門を開放するには軍の協力が必要だと主張した。
 ただ、北朝鮮軍部が今回の放流事件に介入したという物証は現在のところ確保されていないと明らかにした。仮に介入していたとしても北朝鮮自らそれを公開するとはみられず、情報当局はどの機関がどのような意図で放流を行ったのか、あらゆる可能性を念頭に分析を進めていると説明した。
 これに関連し、青瓦台(大統領府)の金星煥(キム・ソンファン)外交安保首席秘書官は8日の会見で、北朝鮮側による水攻めの可能性を念頭に置いているかとの質問に対し、「さらに分析してみなければ正確な意図は分からない」と前置いた上で、「あらゆる可能性を開いて分析している」と答えている。
 情報当局は、黄江ダム付近の衛星写真を判読した結果、ダムに亀裂や破損などの痕跡はないと結論を下したと伝えられた。ある関係者は、衛星写真に見られるダムのようすだけで北朝鮮側の意図を断定することはできないとしながら、最近収集した通信・映像情報などを詳しく分析していると述べた。
 また、北朝鮮側の意図とは関係なく、臨津江支流に設置された40余りの堰(せき)、ダムは1990年代末に急造されたものが多く、安全技術上の問題があるとの指摘も出ている。政府のある北朝鮮専門家によると、北朝鮮は1990年代末に臨津江上流の集中豪雨で大きな被害を受けたため、支流に各種の堰、ダムを設置した。いずれも質の良くない資材を使い手作業で設置したもので、安全問題が発生する可能性は高いとしている。臨津江上流の北朝鮮の堰やダムに亀裂や破損が生じれば、大量の水が黄江ダムに流れ込むと予想され、韓国側の人命・財産被害が繰り返される懸念は大きい。
 一方、合同参謀本部が6日午前2時50分に臨津江増水の報告を受けてから青瓦台に関連状況を伝えるまで10時間かかったことが明らかになっており、「対応の遅れ」という指摘は免れない状況だ。これについて国防部関係者は「スパイの侵入など重要な状況ならば当然即刻報告されるが、河川の増水まで即時報告する必要性があっただろうか」としながら、後に合同参謀本部指揮統制室から退避や浸水状況、臨津江の水位上昇などを総合的に報告したと承知していると述べた。

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