【大阪21日聯合ニュース】今年は独立運動家・安重根(アン・ジュングン)義挙から100年にあたるが、安重根に対する日本の認識は、尊敬されていた政治家にテロを加えた暗殺者といった否定的なものが多い。安重根が中学・高校の教科書で暗殺、射殺といったマイナスイメージの言葉で描写されているためだ。
 しかし、日本の一部の市民団体や識者の間では、慎重ながらも、安重根の評価を見直す動きが出始めている。その根底には、安重根の東洋平和思想に対する注目と、安重根の義挙が韓日合併の不当性を証明する事件だとの認識がある。

 日本の教科書に安重根のような韓国の独立運動家が登場するのは、極めて異例だ。これは、安重根により中国・ハルビンで命を落とした伊藤博文が日本人にとって「偉人」として受け止められているためとみられる。

 安重根に対する説明は一様に、「伊藤博文を暗殺した人物」という否定的な内容となっている。例えば中学校の教科書では「韓国の安重根が総督府の初代統監だった伊藤博文を射殺した」、あるいは「安重根は伊藤博文を射殺したため、日本では暗殺者とされている」などと記されている。

 注目すべきは、安重根の義挙事実が、日本植民地支配に対する韓国人の抵抗を叙述する部分と一緒に言及されていることだ。韓日合併の不当性を証明する証拠といえよう。ある教科書では、韓日合併に対する短い説明の約半分を安重根に割き、「日本の侵略に対し、朝鮮の民衆は武器を持ち各地で立ち上がり、義兵運動を起こして抵抗した」と記す。

 安重根義挙100年と来年の韓日合併100年を前に、日本でも安重根を再び見直そうという動きが少しずつ広がりつつある。韓日の歴史問題を正しく知らせることを目指し、市民や学生を中心に発足した「韓国併合」100年市民ネットワークが、今年3月に京都で開いた安重根の資料展示会もそのひとつ。安重根が収監先の中国・旅順監獄で書き残した遺墨や処刑前の写真が展示されたほか、シンポジウムも開催され、安重根の東洋平和思想と義挙の意味、韓日合併の不当性などが取り上げられた。

 この団体は今月10日にも京都で「韓国併合」100年写真展を開催し、安重根の写真資料が観覧客から大きな関心を集めた。ある女子大生は「韓国の立場で安重根の行動について今一度考えるきっかけになった」と話した。

 安重根再評価の動きは、かつて安重根の精神に感銘を受けた日本人の逸話などが背景にある。安重根は義挙後、伊藤博文の罪状を一つ一つ挙げながら、旅順監獄で周りにいた日本人を論理的に説得した。死を前にしながらも毅然(きぜん)とした安重根の姿に、胸を打たれた人も多いという。

 ハルビンで現場に居合わせた南満州鉄道幹部の田中清次郎は後日談で、「安重根はわたしが出会った人の中で最も偉大な人物」という言葉を残した。監獄で監視に当たっていた日本軍憲兵の千葉十七は、安重根の人格に感動し、日本に戻った後、安重根を弔ったという説も伝えられる。また、安重根の遺墨を保管していたのは、浄心寺(岡山県)の故津田海純住職だが、住職は収容者を諭すため旅順の監獄に派遣されていた折、安重根の平和思想に大きな感動を受けた。

 市民ネットワークに参加している立命館大学の厳敞俊(オム・チャンジュン)教授は、韓国と日本で正反対の評価を受けている安重根は、韓日併合の不当性に照明を当てる重要な鍵となる人物だとしたうえで、「日本の一般市民に安重根をはじめ100年前の歴史的事実を教えることは、韓日両国を含め東アジアの平和に必ず必要なこと」と評価した。

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