南山の安重根義士記念館(提供写真)=(聯合ニュース)
南山の安重根義士記念館(提供写真)=(聯合ニュース)
【ソウル22日聯合ニュース】独立運動家・安重根(アン・ジュングン)が日本の伊藤博文を射殺してから、ことしで100年となる。ソウル・南山の安重根義士記念館では、若い観覧客の姿が目につく。
 彼らは安重根の生涯を紹介する映像や写真などを観覧し、北東アジアの平和を願った故人の志をたたえた。ある30代の観覧客は、「南山公園はよく訪れていたが、記念館には初めて足を運んだ。1度も来たことがないのは恥ずかしいと思って」と語り、記念館に入って行った。

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 記念館は、南山図書館前に位置するが、ここには日帝占領期、日本の朝鮮支配を象徴する朝鮮神宮が建てられていた。朝鮮を植民地化した日帝は、精神的・宗教的支配を図るため、1920年に南山に官立の神社を建立し、朝鮮人に参拝を強要した。

 解放後に神社を解体した韓国政府は、伊藤博文を射殺し殉国した安重根の生涯をたたえ、崇高な愛国精神と平和思想を内外に広めるため、1970年に跡地に記念館を建てた。

 記念館が設立されて以来、同地は日本人観光客が訪れるようになり、朝鮮侵略をざんげする場所となった。2005年には、明成皇后(閔妃)の殺害(乙未事変)に関与したとされる日本人の孫らが記念館を訪れ、涙を流した。安重根を研究する宮城県の市民団体が毎年3月に訪れているほか、安重根が旅順刑務所に収監されていた当時、担当看守だった千葉十七氏の遺族も、記念館と交流を続けている。

 記念館関係者は、「韓国に来て真っ先に記念館を訪れるという日本人観光客もいる。彼らはここで安重根の志を振り返り、過去の侵略先戦争を反省する」と伝えた。

 一方で、韓国人の足は記念館から遠のく一方だ。1日の訪問者数は100~300人水準で、毎年減っていると、記念館関係者は話す。学校の団体見学がなければ、むしろ日本人観光客のほうが多いと感じられるほどだという。訪問客が減る理由は、「歴史認識が薄れているため」との指摘もあるがあくまで推測で、これといって思い当たらないとしている。現在の建物の裏に新しく建設中の記念館が完工すれば、また多くの市民が記念館を訪れるのではと期待をかけている。

 約150億ウォン(約11億5000万円)の建築費が投入された新しい記念館は、延べ面積約3800平方メートル(現在は約590平方メートル)で、地上2階、地下2階建て。2010年10月の完工を目指している。安重根の遺物・遺品をはじめ、伊藤博文暗殺を誓い左手薬指を切断した「断指同盟」会員12人の遺物などが展示されるほか、サイバー焼香所や映像資料上映館なども設けられる。インターネットポータルサイトなどで行われた記念館設立募金運動には、15日現在5000人余りが参加し、15億ウォンほどが集まった。

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