野性動物を長年研究してきた日本のノンフィクション作家、遠藤公男さんが15日、ソウルの国立民俗博物館で聯合ニュースのインタビューに応じ、朝鮮半島でのトラ絶滅は、植民地時代の日本の責任が大きいと述べた。
韓国の最後のトラを追った遠藤さんの著作「韓国の虎はなぜ消えたか」が日本で出版されてから24年、韓国でもこのほど翻訳出版された。
遠藤さんは1980年代、韓国にトラがいるといううわさを耳にして関心を持つようになった。何度も韓国を訪れるうちに、1922年に慶尚北道・慶州の大徳山で捕まったのを最後に、韓国からトラが消えたことを確認した。日本人巡査が数百人を指揮してトラを追いつめて射殺、毛皮は日本の皇族に献上されたという。
さらに遠藤さんは、国立中央図書館とソウル大学の図書館にある日本植民地時代の資料の中から、朝鮮総督府のトラ捕獲関連資料を見つけ出した。それによると、1910年から1945年までにトラ97頭、ヒョウ624頭が捕獲された。統計が抜けている時期があることを考慮すると、実際の捕獲数はその2倍だったと、遠藤さんはみている。
朝鮮時代にも、住民を守るという名目で国がトラ捕獲政策を取っていたため、日本による植民地支配がなかったとしても、結局は絶滅したのではなかろうか。この質問に、遠藤さんは「韓国人はトラを神聖視していたため、日本が支配していなかったら絶滅までは至らなかっただろう」と残念がった。著書を読んだ日本の読者の中には、日本の韓国侵略が野生動物を絶滅させるほどひどいものだった事実を初めて知った、という反応が多かったという。
遠藤さんは日本でのオオカミ絶滅にも触れながら、トラの領域を人間がしきりに侵したために人命被害が出たとし、「人間がすべての地を手に入れようとする態度からして間違っている」と述べた。
さらに、日韓それぞれの希少動物の保護活動にも話題を広げ、絶滅の危機にある野生動物を生かすには、生息できる自然環境を築くことが重要との考えを示した。また、動物を分け合ったり、生息環境に関する情報を共有するなど、世界の国々が協力すべきだと強調した。
この日、国立民俗博物館とソウル大学の獣医科学研究所の共催で「トラの生、人間の生」と題した国際学会が開かれ、遠藤さんも韓国最後のトラについて発表した。
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