【ジュネーブ15日聯合ニュース】国連子どもの権利委員会が、日本の歴史教科書はアジア太平洋地域の歴史に対するバランスの取れた視点がみられないと指摘し、是正を勧告した。
 15日に公開された委員会の報告書によると、先月25日から今月11日までの第54会期で、日本の「子どもの権利条約」履行状況を審議。その結果、日本の歴史教科書はアジア太平洋地域の他国の学生との相互理解を強化できないだけでなく、歴史的事件を日本の観点でだけ記述していることが懸念されると指摘した。そのうえで、「アジア太平洋地域の歴史的事件に対しバランスの取れた視角を示せるよう、教科書を公式に再検討することを政府に勧告する」と述べている。
 また、華僑学校や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)系の学校など、他民族出身の子どもたちが通う学校への支援が十分ではなく、こうした学校を卒業しても大学入試に必要な資格条件が認められないことも懸念点だとした。非日本系学校への支援を拡大し、大学入試などでの差別を撤廃するよう勧告した。
 さらに、開発途上国の児童の人権を優先的に考慮する政府開発援助(ODA)を拡大し、アイヌや韓国人など少数民族出身の子どもたちに対する差別をなくすことも勧告した。
 同委員会の李亮喜(イ・ヤンヒ)委員長は、2004年の日本に対する総括所見で首席審議官として活動している。今回も歴史教科書と朝鮮学校差別問題を積極的に提起した。先ごろの聯合ニュース特派員の取材では、「これら問題は、人権条約履行状況を検討する際、継続して提起していく必要がある」との考えを示している。今回の報告書は、今後行われる日本に対する国連人権理事会の普遍的審査(UPR)でも活用されるだろうと述べた。



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