【ソウル8日聯合ニュース】北朝鮮に対する医療支援が滞ったことで北朝鮮内で結核患者が増え、これが韓国側の南北分断ラインに近い地域での結核発症増加につながっていると指摘された。
 国会保健福祉委員会による疾病管理本部の国政監査で、大韓結核協会がまとめた資料を分析した結果を委員会所属議員が公開したもの。
 韓国内の結核患者数は、ソウル市では2008年の1万1531人から2009年は1万2320人、仁川市は1798人から2143人に、京畿道は6349人から6545人に、江原道は1860人から1934人に、それぞれ増えている。
 人口10万人当たりの患者数も、ソウル市は2008年の114.9人から2009年は122.8人、仁川市は68.4人から81.0人、京畿道は56.4人、江原道は127.3人から133.2人に増加した。
 韓国は2003年から、南北間の和解協力増進を目的に結核医薬品・装備および医療支援事業を実施してきたが、2008年7月に北朝鮮・金剛山で発生した韓国人観光客射殺事件、ことし3月に発生した北朝鮮による韓国哨戒艦沈没事件などで暫定中断されており、これが影響を及ぼしたとの主張だ。
 この議員は、北朝鮮と接する韓国側のすべての地域で結核など感染症罹患(りかん)が増える傾向にあり、北朝鮮住民の健康悪化が韓国国民にも影響を及ぼすことがこの資料で明らかになったと指摘。こうしたことを踏まえ、対北朝鮮医療支援は政治的事案とは別途に扱うべきだと強調した。
 これと関連し、保健福祉部がソウル大学保健大学院から提出を受けた研究報告書によると、北朝鮮が住民の健康水準向上で得る費用便益は19兆1000億ウォン(約1兆4034億円)に上ると試算された。韓国もまた、マラリアや結核などの韓国内発生リスクの減少、経済協力効率性の増進などで、少なくとも14兆6000億ウォンの便益が見込まれる。
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