それによると、朝鮮労働党創立65年記念日の10日、当局は「不世出の領導者を迎えたわが民族の幸運」と題した「放送正論」を住民に聴取させた。この「放送正論」は、第3放送(各家庭のスピーカーで放送される有線ラジオ放送網)を指すと思われる。
「放送正論」によると、正恩氏は政治、経済、文化だけではなく、歴史と軍事にも精通し、わずか2年の留学生活で英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語の4カ国語をマスターした天才だが、さらに7カ国語を完全に習得すると決心し、金総書記のそばで国家全般の事業を指導するかたわら、中国語、日本語、ロシア語を学んでいる。正恩氏のこうした天才ぶりは幼くして表れたもので、3歳のときには祖父の故金日成(キム・イルソン)主席が略字で書いた漢詩「光明星賛歌」を正字で書き写し周囲を驚かせた。
北朝鮮が核保有国になったのも正恩氏のおかげだとしている。海外留学で「米帝と帝国主義の列強」が起こした戦争を目撃し、「核を持った者には核で対抗すべきだ」という決意を固めたためだと紹介した。
また、咸鏡北道延社郡の住民から伝え聞いたとして紹介された北朝鮮当局の「農民扇動資料」は、正恩氏の農業部門での業績を並べ記している。2008年12月に金総書記と黄海北道・沙里院の米穀協同農場を訪れた際、正恩氏は掲示されている標準肥料量表の間違いにその場で気付き、新たな形の微生物肥料を代案として提示した。これに従うと、翌年には1町歩(3000坪)当たり最高で15トンの稲が収穫できたとうたっている。
この資料を見た協同農場の住民らは、「(全国の)農場を金正恩大将が訪れば、わが国の食糧問題は自然に解決されるだろう」とあきれているようすだという。別の情報筋も、「金正恩を天才的人物に美化するため見え透いたうそを並べているが、あまりに荒唐無稽(むけい)な内容だ」と話している。
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