◇サムスン電子が事業再編
グループ売上高の7割以上を占める中核企業のサムスン電子は、昨年末から一部事業の分離作業を進めている。急変するパネル市場に効果的に対応するための競争力確保として、4月1日付で液晶パネル(LCD)事業部を分社化する。これをサムスンモバイルディスプレーやS-LCDと統合することも検討中だ。また、サムスンLCDの吸収合併を決め、ソニーとはS-LCDの合弁事業を解消した。ハードディスクドライブ(HDD)事業も売却済みだ。
業界では、サムスン電子が通信装備事業も切り離し、サムスンSNSに改称予定のソウル通信技術に移すとの予想もあるが、サムスン側は否定している。ソウル通信技術は李在鎔社長が45%の株を保有している。
一方で、新規事業への取り組みも始めた。バイオ医薬品事業を担当するサムスンバイオロジックスに1200億ウォン(約87億4000万円)を出資し、持ち株40%を確保することにした。サムスン電子も、グループが新たな有望事業に据えるバイオ医薬品事業に関与することになる。
◇エバーランド株変動の行方は
グループ支配構造の頂点にあるサムスンエバーランドの株式保有の変動も注目される。エバーランド株はサムスンの創業家とグループ会社が69.04%を保有する。
李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長の末娘がかつて保有していた4.25%は、社会貢献の面から政府に寄付され韓国奨学財団が保有・管理してきたが、近く売却される予定。支配構造を変化させるほどではないとはいえ、エバーランドの位置付けを考えると財界の注目を集めるに十分といえる。
サムスンカードも来月中に、保有する3.64%のエバーランド株を売却する。金融産業構造改善法に基づき、同株の保有率を5%未満に引き下げる必要があるためで、昨年12月に17%を売却し、現在は8.64%となっている。
◇今後の方向性
財界には、サムスングループの最近の変化はグループの枠組みを変えるシグナルという受け止め方がある。同グループは2010年に「コントロールタワー」の未来戦略室を復活させ、李会長の子女を経営の前面に配置した。長期的な変化をにらみながら、3代目経営体制に移行させることを想定した措置ともみられる。
今後の方向性について、証券業界のある専門家は持ち株会社を挙げた。多大な資金を要するため、3~4年の期間を定め、段階的に転換するという可能性を指摘した。あるいは、電子、物産、金融と系列ごとに分離するのではないかとの予測もある。
形態はどうあれ、グループ再編作業はすでに始まっており、加速する可能性は高い。先ごろ、グループ創業者の故李秉チョル(イ・ビョンチョル)氏の次女が遺産相続を求め李健熙会長を相手取り訴訟を起こしているが、3代目体制への移行に支障をきたさないためにも、グループ再編が急がれるとの指摘がある。ただ現在のところ、グループ関係者も方向性については言及を控えている。
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