【ソウル聯合ニュース】旧日本軍の従軍慰安婦問題解決に向けた「仲裁委員会」の設置提案時期をめぐり、韓国政府がタイミングを計っている。
 韓国側が昨年9月15日に韓日請求権協定に基づき日本側に初めて2国間協議を要請してから半年になるが、状況が何も変わっていないことから、政府周辺では今こそ仲裁委のカードを切るべきだとの意見が少なくない。
 仲裁委の設置要請は、韓日請求権協定の紛争解決プロセスの最終段階に該当する。1965年に締結された同協定は、両国間で紛争が起きた場合はまず2国間協議による解決を図り、合意に至らなければ両国が仲裁委を設置できると規定している。
 元慰安婦の生存者が次第に減っていることも、仲裁委の提案を急ぐべき理由の一つに挙げられている。憲法裁判所の判決で慰安婦問題があらためて関心を集めた昨年8月には69人が生存していたが、今では61人に減っている。
 さらに、今月末ごろに日本の歴史教科書検定結果が発表されることも考慮せざるを得ない。発表を機に独島領有権問題が再燃すれば、慰安婦問題がかすんでしまいかねないため、設置提案を急ぐべきだとの意見が出ている。
 だが政府内では、仲裁委の設置提案は実質的に最後の切り札となるだけに、日本側の動きを見ながら時期を見極めるべきだとの慎重論も根強い。日本側は、慰安婦問題について「可能な解決策の検討を続けている」としており、ひとまずその解決策の内容を見てから対応すべきとの意見がある。
 外交関係者の間では、26~27日にソウルで開かれる核安全保障サミットへの出席が見込まれる野田佳彦首相が、何らかの解決策を提示するとの見方も出ている。

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