昨年、中学生Aは新種のハーブ麻薬(危険ドラッグ)吸引容疑で在宅立件された。麻薬の原料を密輸し製造・販売していた人物と共に検挙されたのだ。製造・販売者Bは海外から密輸したハーブ麻薬の原料を韓国国内で製造した後、SNSを通して未成年者らに販売していた。Aは好奇心から麻薬に手を出し、逮捕された。

 今年3月、大邱(テグ)に住む大学休学中のC(当時、満18歳)は同級生Dと共に麻薬の運搬係を担い検挙された。Cは麻薬密輸組織が昨年11月、SNSに掲げた「期間は一週間、報酬は200万ウォン(約20万円)、簡単な運搬、パスポート必須」という文章を見て連絡し、運搬係となった。Cが運搬した麻薬はヒロポン496g(小売価格:16億5000万ウォン=約1億6000万円)だった。

 麻薬犯が1万人を超え、「大韓民国は麻薬清浄国」が昔の言葉となった。以前は一部で広がっていた麻薬類犯罪がここ数年は会社員、女子大生に加え、高校生にまで密かにに広がり、韓国はもう、麻薬安全地帯ではなくなった。

 これに対し、食品医薬品安全処、法務部、大検察庁、関税庁、警察庁は26日、「麻薬類犯罪根絶総合対策」を発表し、麻薬との戦争を宣言した。政府はまず麻薬類の違法取引を最大限遮断し、新種麻薬類や医療用麻薬類を積極的に管理する方針を固めた。

 このために初めて検警合同捜査班を構成し、全国単位の監視網と捜査網を張り、地域別に麻薬犯に対する取り締まりと捜査を進める計画だ。また、インターネットやSNSではやい広がりを見せる麻薬の違法取引を防ぐために、自動検索プログラム“eロボット”も動員する予定だ。

■麻薬の80%は国際郵便通じて密搬入
 麻薬類はほとんどが特送貨物国際郵便として密輸される。昨年、特送貨物国際郵便を利用した密輸されたのは262件で、80.6%を占めた。個人が携帯して搬入したのが54件、その他9件だった。

 インターネットを通した事例も増えている。検察庁は「2014年麻薬類犯罪白書」でインターネットやSNSでの麻薬類密輸が増加していると分析した。検察庁は「主に海外のサイトや高い水準の秘密性が保障されるインターネット違法闇市である“ダークネット”等を通して麻薬類取引がおこなわれている」とし、「デジタル仮想通貨である“ビットコイン”を代金決済手段として利用する場合もある」と説明した。

 密輸入が増え、押収された麻薬類量も持続的に増加している傾向だ。2013年7万6392グラム、2014年8万7662グラム、2015年9万3591グラムと調査された。麻薬類密輸入は2012年232件、2013年254件、2014年308件、2015年325件であった。

 中毒性・依存性は確認されていないが、麻薬と同じ機能をし、麻薬類のような取り扱いをする新種の麻薬類摘発件数も去る5年間で、8.2倍増えた。2014年関税庁が摘発した新種麻薬類は168件(17.3キログラム)で、2010年には64件(2.1キログラム)だった。

■清浄地域はない…学生・会社員までが関与
 19歳以下の麻薬類犯取り締まりは2012年38人に過ぎなかったが、2013年58人、2014年102人と前年対比75.9%も増えた。

 検察庁は「青少年がインターネット、SNS等を通して簡単に麻薬類供給者から麻薬類を購買できるものと把握される」と明らかにした。しかし、青少年が主に利用するインターネット取引は捕らえるのが難しいという点で、実状は取り締まり件数に現れた数値より一層深刻なものと当局は見ている。

 全体の麻薬犯もここ5年間、変わらず増加傾向にあり、昨年1万人を超えた。2011年の9174人から2012年9255人、2013年9764人、2014年9984人、2015年1万1916人が摘発された。

 食品医薬品安全処は特送物流センターを“遠隔判読システム”を通じてリアルタイムで検査し、疑われる貨物は集中検査する予定だ。また、麻薬類違法取引を24時間監視する“eロボット”も今年下半期に稼動させる。麻薬販売広告をもれなくモニタリングし、違法サイトが発見されれば直ちに遮断・閉鎖措置を取るなどインターネット・SNSを利用した麻薬犯罪を根絶させる計画だ。

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