口蹄疫のワクチン接種を受ける牛(資料写真)=(聯合ニュース)
口蹄疫のワクチン接種を受ける牛(資料写真)=(聯合ニュース)
【清州聯合ニュース】韓国政府が家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)を防ぐための「伝家の宝刀」としていたワクチン接種が、流行を食い止める有力な手段となっていない。ワクチン接種は、口蹄疫の流行を防ぐため防疫当局が2010年12月に打ち出した対策だったが、むしろそれ以前よりも口蹄疫の発生頻度が高くなっている。 韓国で口蹄疫が初めて猛威を振るったのは2000年で、16年までに計8回流行した。この16年間、殺処分費用や畜産農家への支援金など口蹄疫のために投じられた血税は実に3兆3127億ウォン(約3300億円)に達する。今年も2月に入り4件発生し、流行の兆しを見せていることから、防疫当局と畜産業界は神経をとがらせている。◇16年で8回流行 韓国で口蹄疫が初めて流行したのは2000年3月だった。同年4月15日にかけ3道の6市・郡で発生し、牛2000頭ほどが殺処分された。殺処分費用に加え、農家への補償金、生活安定のための支援金、移動制限の対象となった牛の買い上げなどに総額2725億ウォンが投じられた。 02年5~6月にも2道の4市・郡で口蹄疫が発生し、牛や豚16万頭が殺処分された。このときは1058億ウォンが投入された。 しばらくは流行はなかったが、10年1月から11年4月にかけては3回も口蹄疫に見舞われ、殺処分された牛や豚はそれぞれ6000頭(28日間)、1万1500頭(29日間)、33万6000頭(145日間)を数えた。この間に投じられた血税は実に2兆8695億ウォンに達した。 この時に出された対策が、ワクチン接種だった。接種すれば口蹄疫を100%防げるという保証はなかったが、過去最悪の被害を目の当たりにした当局が最も有力な対策として接種を推進した。 だが、ワクチン接種も口蹄疫を防ぐには力不足だった。14年7月には2道の3市・郡で発生し、豚2000頭が殺処分された。同年12月から翌年4月にかけても口蹄疫により牛や豚17万3000頭が、16年1~3月にも豚3万3000頭がそれぞれ殺処分された。◇今年は2種類のウイルスが同時発生 今年は2月5日に中部の忠清北道報恩郡で牛の口蹄疫が発生したのに続き、南西部の全羅北道井邑市、北部の京畿道漣川郡でも牛の感染が確認された。9日には報恩の別の飼育場でも発生した。 特に、漣川で発生した口蹄疫はA型で、ほかの3件(O型)とは異なっている。例年と違い2種類のウイルスが同時に流入したことから、当局は警報段階を最高レベルの「深刻」に引き上げた。◇ワクチン接種の管理不十分 口蹄疫が毎年のように繰り返し発生していることから、畜産防疫当局の無責任なお役所仕事がその原因だとの批判も出ている。国際獣疫事務局(OIE)の基準通りとはいうものの、全体の飼育頭数に関係なく1農家当たり牛1頭だけを標本検査し、抗体の形成率を算出するというおざなりなやり方が惨事を広げたとの指摘だ。 こうした手法で韓国の牛の飼育頭数314万頭のうち0.3%ほどだけを検査し、全国の牛の平均抗体形成率は95.6%だと誇っていたが、口蹄疫の発生を防ぐことはできず、当局が「数字遊び」をしていると専門家らは指摘している。 ワクチンを接種すれば口蹄疫の発生を防げると、畜産農家に接種を全面的に委ね、接種記録などの管理をきちんとしていなかったことも明らかになっている。畜産農家は、当局が接種方法もきちんと教えてくれなかったと主張している。◇消毒など基本がおろそかに ワクチンに頼るあまり、畜舎の消毒などがおろそかになっていたとの批判もある。防疫当局のある関係者は「伝染病予防の主軸は徹底した畜舎周辺の消毒と部外者の出入り統制、出入り車両の徹底的な消毒」だとし、ワクチン導入後は最も基本的なこれらが手薄になっていたかもしれないと認めた。
Copyright 2017(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0