兵務庁の李基植庁長=(聯合ニュース)
兵務庁の李基植庁長=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の李基植(イ・ギシク)兵務庁長が、世界で活躍する人気グループ、BTS(防弾少年団)の兵役問題を機に補充役制度を全般的に見直すとの考えを示した。特に、BTSなど大衆文化芸術者を兵役特例の対象に含めることに対しては社会的合意が必要だとの慎重な立場を示した。

 李氏は19日に聯合ニュースのインタビューに応じ、BTSの兵役問題を機に、兵役特例の対象縮小など早期に補充役制度を全面的に見直す必要があるとの見解を示した。「現在、兵役特例の補充役の縮小を進めているため、特例の対象を新たに追加し拡大することは(方針に)そぐわない」と強調した。少子化による兵力資源の減少で補充役を減らしている状況のなか、兵役特例の対象追加は実情に合わないという主張だ。

 BTSのメンバーのうち、最年長のJIN(ジン)さんは入隊期限が迫っている。韓国内では国益に大きく寄与した大衆文化芸術者が兵役特例を受けられるようにする必要があるという意見を巡り賛否が分かれている。

 現行の兵役法は、▼五輪3位以上の入賞者▼アジア大会1位の入賞者▼国際芸術コンクール2位以上の入賞者▼国内芸術コンクール1位の入賞者――らは芸術・体育要員として代替服務ができるよう規定している。芸術・体育要員として服務する場合、文化体育観光部長官の指揮・監督の下、兵務庁長が定めた該当分野で34か月服務する。大衆文化は対象外となっているため、BTSなど大衆文化で国威発揚に寄与したアーティストは代替服務が認められない。

 李氏は「大衆文化も対象に含める場合、現役兵として服務する青年たちが感じる差別や挫折がさらに大きくなる恐れがある」と述べた。「BTSの成果が素晴らしいものであることは明らかだが、その報奨を兵役の義務履行と関連付けるのは公正性の側面で社会的合意が必要だ」とし、慎重な立場を示した。純粋芸術分野との公平性を図るため大衆芸術分野も兵役特例の対象に含めるべきだとの主張に否定的立場を示すとともに、むしろ補充役制度の縮小に重きを置いた。

 李氏は「芸術コンクールは権威ある審査委員が順位を決めるが、大衆芸術分野の音楽ランキングやアルバム売上枚数、ファンによる投票結果などは一種の人気投票であり、その結果を補充役の対象を決める基準として受け入れれば、非常に慎重にならざるを得ない結果が表れる可能性がある」と指摘した。

 また、純粋芸術分野でも公平性の問題が取り上げられているとし、芸術・体育要員としての代替服務が認められる条件となっているクラシック、国楽(韓国伝統音楽)、舞踊のコンクールや大会が42あり、それらが適切かどうかを検討しようという意見が多いとし、同制度縮小を検討する可能性を示唆した。

 兵務庁が補充役縮小を進めているのは兵力資源の確保が喫緊の課題として浮上したためだ。人口推計によると、20歳の男性の人口は2020年の33万3000人から25年は22万6000人と約11万人減少し、40年には14万3000人にまで減少する。年間入営人員は10年の26万9000人から20年は23万6000人に減少した。

 李氏は「現在は年間の兵力資源が25万人程度だが次第に減少し、22万人になり、2030年代中盤以降は20万人を下回る」と懸念を示した。


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