<W解説>フェイクニュースが社会問題化する韓国、背景には何が?(画像提供:wowkorea)
<W解説>フェイクニュースが社会問題化する韓国、背景には何が?(画像提供:wowkorea)
韓国では最近、フェイクニュースが横行しており、ネット社会、SNS時代の中で深刻な社会問題となっている。今年10月には韓国最大野党「共に民主党」の議員が、ネットメディアによる情報提供を基に、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領らに不適切な酒席があったとして追及。しかし、後にこれは事実ではないことが分かった。また、最近では、韓国料理界のカリスマとして知られる料理研究家のペク・ジョンウォン氏が死亡したというニュースが動画投稿サイトYouTubeで流れた。しかし、これは全くのデタラメで、ネットユーザーたちからは、こうした行為に対し、重い処罰が必要だとの声が高まっている。

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 「共に民主党」のキム・ウィギョム(金宜謙)議員は10月、ネットメディア「ザ・探査」による情報提供として、尹大統領とハン・ドンフン(韓東勲)法相らが今年7月、弁護士30人余りとソウル市内の飲食店で未明まで飲酒したとする疑惑を取り上げた。元検事の尹氏と法相の職にある韓氏が法曹関係者と会っていたことが事実ならば、「利害衝突防止法」に抵触するなど問題ある行動で、真相究明が急がれた。金議員は当時その場にいたとするチェリストの女性の音声記録を公開。女性は「韓東勲と尹錫悦まで来た。お酒を飲んで歌を歌い、警護員もいた。尹錫悦が(歌謡曲の)『トンベク(冬柏)アガシ』を歌うと言った」と話した。しかし、金議員は結局、問題の酒席があったという証拠を示せなかった。

 その後、警察による携帯電話の分析などから、チェリストの女性が当時、その飲食店にいなかったことが判明。その後、女性は警察に、証言は全て虚偽だったと供述した。

 金議員は「尹大統領など、関係者に心から遺憾を表す」とする一方、「国政に関連した重大な情報提供を受け、国政監査でこれを確認するのは国会議員として当然すべきこと。再びあの日に戻ったとしても、私は改めて同じ質問をしないわけにはいかない。これからも国民の代わりに問いただす義務と責任を果たしていく」と開き直りとも受け取れる弁明を続けた。

 ちなみに金議員は、韓国の有力紙・ハンギョレ新聞の元記者。こうした経歴の金議員が、結果的に裏取りも不十分なまま疑惑の追及に奔走していたことは、お粗末と言わざるを得ない。

 また、最近では、「天空」の名で知られる占い師が政府の重要な決定に関与したというフェイクニュースが広がった。大統領室は今月6日、この疑惑を提起した野党「正義党」のキム・ジョンデ元国会議員を虚偽事実の流布による名誉毀損(きそん)の疑いで警察に告発した。

 大統領室は「フェイクニュースに関しては一貫した原則に基づき法的責任を問う」と厳しい姿勢で臨む方針を示し、「フェイクニュースを排出すれば、汚染されるのは社会の空気だ」と指摘した。

 フェイクニュースは政治関連にとどまらない。最近では韓国の著名な料理研究家、ペク・ジョンウォン氏が死亡したとのニュースが広がった、あるユーチューバーが「ペク・ジョンウォンが、妻で女優のソ・ユジンと3人の子供に100億ウォン(約10億円)近い借金を残して亡くなった」とペク氏の死亡説を流した。瞬く間に広がったが、ペク氏は、撮影で海外を訪れており、滞在先から「撮影を終えて帰国の準備をしている。家族と一緒に幸せな年末を迎えようと思う」などとメッセージを発信。死亡説は悪質なフェイクニュースであることが分かり、虚偽の情報を流したユーチューバーは、ネットユーザーの怒りを買っている。

 韓国紙の朝鮮日報は、フェイクニュースが横行する背景について「ユーザーは刺激的なコンテンツであればあるほど熱狂し、プラットフォームのアルゴリズムと収益構造がそうした傾向を助長し、フェイクニュースを生む土壌になっている」と指摘した。刺激的なコンテンツを作って流すことで動画の再生回数を稼ぎ、収益を得ようという考えがエスカレートしている現状にある。韓国ではフェイクニュースを流布した場合、最高7年以下の懲役となる可能性がある。

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