韓国南東部の慶尚北道慶州市で17日に開催された「第8回アジアドラマカンファレンス」(主催:韓国文化産業交流財団)で、日本のテレビ業界関係者らは「韓流ドラマの危機」に懸念を示した。2003年、ペ・ヨンジュンとチェ・ジウ主演のドラマ「冬のソナタ」が日本で韓流ブームを巻き起こしてからちょうど10年がたち、「危機論」が浮上しているというわけだ。
韓流ドラマの流通を手掛けるSPOの横田博取締役は「2011年下半期から、韓国ドラマの売上高が半期ごとに60%ずつ下落している。韓流市場の縮小が著しい」と説明した。
SPOが流通を手掛けた代表的な韓流ドラマ3本「花より男子~Boys Over Flowers」「宮~Love in Palace」「シティーホール」のDVD販売枚数は、11年下半期が1万1700枚、昨年上半期が6800枚、同下半期が4000枚、今年上半期が2700枚と急激に落ち込んだ。韓流がピークに達した11年下半期に比べ、4分の1ほどに急減したことになる。
また、同じ俳優が主演したドラマのDVD販売枚数を比較しても、11年に販売された「トキメキ☆成均館スキャンダル」が2万4000枚売れたのに対し、昨年の「ミス・リプリー」は約10分の1の2000枚にとどまった。
横田氏は、昨年再燃した韓日の領土問題、ジャンルもののはんらん、韓流スターの出演料上昇に伴う販促活動の減少がDVD販売の落ち込みを招いたと指摘した。
特に、ジャンルものが増えたことが韓流ドラマの危機につながっているとの見方は、韓国のテレビ業界関係者らを驚かせた。ジャンルものの増加は「韓国ドラマは恋愛ものばかり」という欠点を乗り越えた「発展」と受け止められてきたためだ。
横田氏は、韓国ドラマのファンはラブストーリーを好むが、最近はラブストーリーがしっかり描かれた作品がなく、代わりに復讐(ふくしゅう)劇やアクション、サスペンスなどさまざまなジャンルものが制作されていると説明した。日本にはすでに多種多様なジャンルものがあふれているため、視聴者はあえて韓国のジャンルものを見る理由がないとの指摘だ。
また、フジテレビグループ傘下のドラマ制作会社、バンエイトの中山和記社長も「日本では恋愛もののドラマが死滅に近い状態だが、韓国はまだ可能だ。韓国は儒教思想という道徳的な価値を持っているため、ラブストーリーをつくれる要素が多い」と、韓国の恋愛ものドラマの競争力に言及した。
このほか、円安による日本のDVD制作会社の収益性悪化、韓流スターの出演料上昇による販促費用の削減などを韓国ドラマの危機の原因に挙げた。
一方で、日本の出席者らは、韓国ドラマは依然として日本で力を発揮できる競争力を備えていると口をそろえた。
韓国ドラマ「魔王」「美男<イケメン>ですね」のリメイク版を演出したTBSの高橋正尚プロデューサーは「韓国ドラマは非常に情熱的でありながらも繊細だ。創作者らの能力がずば抜けていると言わざるを得ない」と称賛した。
また、横田氏は「アクションやサスペンスでもラブストーリーを前面に出し、日本の女性が憧れるようなイケメン俳優たちが出演すれば、日本市場を掌握できるだろう」とアドバイスした。
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