<W解説>釜山万博誘致を願う「BTS」のコンサート、なぜか開催費用は所属事務所が負担(画像提供:wowkorea)
<W解説>釜山万博誘致を願う「BTS」のコンサート、なぜか開催費用は所属事務所が負担(画像提供:wowkorea)
韓国の人気グループ「BTS(防弾少年団)」が来月15日、南部のプサン(釜山)で開くコンサートの費用負担をめぐって議論が起きている。コンサートは2030年万博の釜山誘致を願い、内外にPRする招致活動の一環として開かれる。今回のコンサートには総額70億ウォン(約7億円)以上の費用がかかるとみられているが、無料での開催のため、「BTS」側が多額の損失を被ることになり、波紋が広がっている。

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 釜山市は昨年6月、2030年の万博誘致に正式に立候補を表明し、万博の誘致申請書を博覧会国際事務局(BIE)に提出した。テーマは「世界の大転換、より良い未来に向かう航海」。「持続可能な地球」、「人類のための技術」、「共有と思いやりの場」という3つのサブテーマを掲げ、未来のパラダイムシフトに向けたグローバルなビジョンを提示するとしている。

 ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は、釜山万博開催を主要国政課題の一つに掲げ、誘致活動を政府主導で進めていく方針を表明。政府は企業や公共機関、自治体と協力し、BIE加盟170か国を対象とした誘致活動を強化している。韓国のLGやサムスン、SK、現代自動車など国内の代表企業はタスクフォース(TF)を発足。釜山誘致に向けた誘致活動を活発化させている。

 万博は会場の規模やテーマなどから、主に登録博覧会(登録博)と認定博覧会(認定博)の2つに大別される。最大規模の万博である登録博は、1995年以降は5年ごとに開催される。一方、認定博は5年ごとに開催される登録博の間に開かれる、比較的小規模な博覧会。開催期間は登録博が6週間以上6か月以内、認定博は3週間以上3か月以内と定められている。

 韓国は1993年にテジョン(大田)国際博覧会(特別博)、2012年にヨス(麗水)国際博覧会(認定博)を開いているが、登録博の開催はこれまで一度もなく、それだけに釜山万博の開催実現は悲願でもある。

 誘致に向け、広報活動をさらに強化しようと、誘致委員会は「BTS」を釜山万博広報大使に委嘱。その活動の一環として10月に釜山でコンサート「BTS Yet to Come in BUSAN」を開くことになった。

 しかし、今回のコンサートにかかる経費が約70億ウォンに上ると報じられると、「BTS」の所属事務所のHYBEは今月8日、総費用はさらに高くなるとの見方を伝えた。HYBEによると、公演運営費の70億ウォンに加え、公演以外に全世界に向けて無料でオンラインストリーミングを提供するため、費用はさらにかかる見通しという。この莫大な費用は公演主催者で、「BTS」の所属事務所のHYBEと子会社のBIGHIT MUSICが負担する。釜山市と2030釜山万博誘致委員会は後援として行政支援のみ行う。このことが明らかになるや、各方面からは万博誘致のために開くコンサートにBTS側が負担を強いられるのはおかしいとの批判が沸き起こった。韓国紙の中央日報は「2年前の90分のオンラインファンミーティングで250億ウォン(約25億円)を稼いだBTSだが、今回はスタートから赤字だ。無料である上に釜山市からの支援もない『やりがい搾取コンサート』だからだ」と指摘した。

 議論が大きくなるや、HYBEは22日、コメントを発表。「BTSは国家と社会に寄与したいという意思で(国の行事に)参加してきた」とし、今回のコンサートで出演料を取らないのは、多くのファンの前で無料公演を開きたいという「BTS」のかねてからの要望に沿ったものであるが故のことだと説明した。

 また、「行事の費用を政府の財源で十分に賄うことは難しいとよく理解している。政府からの支援は国民の税金が源泉となるため、政府支援には常に慎重にアプローチしてきた」と強調した。政府や釜山市、誘致委員会は限られた予算内で公演の支援をしてくれていると感謝した上で「万博誘致に努力する政府や自治体、企業の資源が釜山でのコンサートに大規模に投入されることは望ましくないと考えている」とした。

 思わぬ形で議論が沸き起こっていることに「残念な気持ち」とした上で、「HYBEと『BTS』はコンサートを通じて釜山を世界が注目する場にしたい。2030釜山万博の誘致に一部でも貢献できることとなり、それだけでも『BTS』と当社は誇りを持つことができる」とコンサート開催に喜びを示した。

 HYBEは今回のコンサートにかかる費用を、企業からの協賛金やストリーミング配信時の広告、付帯イベントなどで賄う計画という。

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