「ザ・グローリー」など復讐劇が人気…視聴者はどうして復讐劇が好きなのか(画像提供:wowkorea)
「ザ・グローリー」など復讐劇が人気…視聴者はどうして復讐劇が好きなのか(画像提供:wowkorea)
視聴者がドラマに没入するための条件についてドラマ作家A氏は、「結局は、視聴者が劇中人物に向かって応援しなければいけない。それで継続してドラマを見るようになる。その人物がうまくいけばいい、そんな状況だったら自分も同じようだと感じられる」と話した。

応援しようとすればするほど、劇中の人物に没入しなければならず、その人の立場や環境に共感しなければならない。誰もが応援できるような立場や環境、動機を自然に劇中の人物に提供しなければいけないジャンル。長い期間、復讐(ふくしゅう)劇が愛される理由だ。

最近全世界的にヒット中であるNetflixオリジナルシリーズ「ザ・グローリー~輝かしき復讐~」は、復讐劇の普遍性を証明する。26日、OTT順位集計サイトフリックスパトロールによると、「ザ・グローリー」は昨年年末公開されたのち、1か月が過ぎたが香港、フィリピン、台湾、ベトナムなどアジア圏で変わらずTVショー部門のトップを獲得している。韓国だけでなく多様な国家で好評を得ている。

全ての創作物はそれなりの叙事を持っている。劇中に与えられた環境で各人物たちの関係と行動が作られていく流れが叙事の原動力だとすれば、これをうまく流れさせるための蓋然(がいぜん)性も必要だ。復讐劇は恨みを晴らすという、敵に対する怒りという動機とそれに相応する蓋然性を付与するという点で直感的に理解できる、一種の経済的な叙事だ。

このような復讐の特徴は、映画や小説に比べ意図的な没入度が低いドラマでより大きな力を発揮する。あるドラマ作家は「小説や映画は選別や購入を行うので、このコンテンツを消費しようとする費用を出すという点で、より思惑が介入する」とし、「ドラマは見るものを探しチャンネルを変える視聴者をひょいと捕まえなければいけないという点で違う」とした。

復讐は直感的な叙事だけでなく刺激的だ。主人公が経た苦痛に比例する復讐心は、見るものにより刺激的な苦痛の描写と、その苦痛に相対する復讐をする瞬間のカタルシスを提供する。これは「ザ・グローリー」だけではない。韓国ドラマの大部分が復讐を主なテーマとして使用する背景だ。

特に最近の現在創作物の復讐は、より個人的な復讐に焦点を合わせているという分析も出ている。チョン・ドクヒョン文化評論家は「復讐は完結されるジャンルで、一種の与えられた分だけ返すというものが根底にあるので見る人の立場で流れを期待させるという側面がある」とし、「韓国での復讐劇は、最近多いのは『私的な復讐』を扱っているという特徴がある」と見ている。

これは結局、社会的な復讐の不在という側面だと解釈できるという説明だ。チョン文化評論家は「弱者を法が保護してくれない状況が現実的に多く出ているので、そのための私的な力を動員する姿がコンテンツとして出ている」という指摘だ。

実際に「ザ・グローリー」で描写されている、いわゆるヘアアイロン校内暴力事件の主導者は未成年者にも関わらず異例にも逮捕されたが保護観察処分を受け、前科も残らなかったと知られている。韓国国内の少年法は禁固刑以上の処罰を受ける場合は前科記録が残るが、保護処分は少年の将来に何の影響も与えない。

復讐もののコンテンツはこれからも続く展望だ、今年上半期だけでも復讐を主要テーマとしたドラマが続く状態だ。タクシー運転手が代わりに復讐をする復讐代行の物語を描いたSBS「模範タクシー2」、誰もがうらやましがる人生を生きる女性が、失った過去の記憶を取り戻しながら自身の運命を作り替えた勢力を打倒するために行われる復讐劇tvN「パンドラ」などが上半期に放送される予定だ。
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