<W解説>韓国で「日本アニメブーム」=「すずめの戸締まり」は公開13日目で観客200万人超(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国で「日本アニメブーム」=「すずめの戸締まり」は公開13日目で観客200万人超(画像提供:wowkorea)
韓国で日本のアニメ人気が止まらない。新海誠監督のアニメーション映画「すずめの戸締まり」が今月20日午後、公開から13日目で累計観客数200万人を突破した。日本の人気漫画「SLAM DUNK(スラムダンク)」を原作とするアニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」の人気も続いており、韓国の有力紙・朝鮮日報系のメディア、朝鮮ビズは「日本映画突風」と報じている。

新海監督の「すずめの戸締まり」は、幼いころ震災を経験した女子高生、鈴芽(すずめ)が「災い」の元となる「扉」を閉じるため、日本各地を巡りながら冒険を繰り広げるストーリー。韓国では今月8日に封切られた。新海監督は同日、ソウルの映画館を訪れてあいさつし「『すずめの戸締まり』はコロナの真っただ中で作った作品だ。果たしてこれを完成させることができるだろうかと思っていたが、このように韓国にまで来ることができてうれしい」と語った。また、「映画は地震による災害を描いている。災害や事故で日常が断絶されてしまうことは韓国でもあると思うので、自分たちと地続きの話だと思って見てもらえれば」と話した。

「すずめの戸締まり」は韓国映画振興委員会の映画館入場券統合ネットワークのデイリーランキングで初登場1位となり、その後も首位を15日連続で維持し、今月20日には累計観客数200万人を突破した。

新海監督は韓国では「日本のアニメーション界の巨匠」とも言うべき存在だ。韓国で新海監督の名が知られるようになったのは長編映画「雲のむこう、約束の場所」(2004年)が2005年の「ソウル国際漫画アニメーション・フェスティバル」で優秀賞を受賞したことがきっかけだ。その後、2017年1月に公開された「君の名は。」は累計367万人3876人の観客を動員する大ヒットとなった。また、2019年に公開された「天気の子」は、韓国で公開された外国映画のうち最長連続上映記録を樹立した。

また、新海監督はかつて韓国が「最も身近な外国」、「最も好きな料理も(韓国料理の)サムゲタン」と語ったことがあるほど、韓国への思いが強い。これまで新作が完成すると、プロモーションのために自ら来韓しており、「すずめの戸締まり」の公開初日にも前述のようにソウル市内の映画館を訪れて作品への思いを語った。

「すずめの戸締まり」を観た韓国の観客からは「映像美はもちろん、OST(挿入歌)がその感動を倍増させている」「絶対また観る。新海誠は天才だ」「監督が伝えるメッセージ、演出、OSTまで、本当に素晴らしい」などと作品を絶賛する声が続々と上がっている。

スポーツソウルは「すずめの戸締まり」の反響について「同時期公開の他作品と比べて、1日あたりの観客動員数が圧倒的だ。まさに3月の劇場街を総なめにしたと言っていいほど桁違いのヒットだ」と伝えている。

今年韓国で公開された映画のうち、現時点で観客動員数が200万人を突破した映画は1月に封切られた「THE FIRST SLAM DUNK」と「すずめの戸締まり」の2作品のみで、いずれも日本作品だ。

「THE FIRST SLAM DUNK」は原作漫画「SLAM DUNK」が韓国で出版された当時学生だった30~40代を中心に関心を集めているという。「タイムマシーンに乗って学生時代に戻ったようだ」と懐かしむ声も聞かれる。韓国でのヒットの理由について、韓国の映画・アニメーション文化に詳しいセジョン(世宗)大学のハン・チャンワン教授はNHKの取材に「原作が出版された90年代前半は韓国は経済成長を遂げた時期だったが、90年代後半に入ると経済危機が訪れた当時の学生たちにとっては希望を感じられない時代となった。そんな時期に主人公たちが強豪校に挑んで勝ち進んでいく姿に希望を感じた人も多いと思う。それから20年以上たって、その世代が再び作品に触れて感動した。自分も頑張っていこう、挑戦していこう、そんな気持ちにさせたのではないか」と分析した。

「THE FIRST SLAM DUNK」は既に観客動員数400万人を突破。現在も人気が衰えることはない。

韓国で「日本アニメブーム」が続いていることに、韓国紙の中央日報は「K-POPや韓国ドラマ、ウェブトゥーンブームでKコンテンツが日本を超えたという認識が普遍的な状況の中で、低迷した韓国の劇場街を日本コンテンツが占領しているため、なおのこと興味深い」とし、「大衆文化の強大国、日本が突然立ち上がった。2018年から続いた『ノージャパン』はどこに行ったのか」などと驚きを持って伝えている。

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