国内外の憂慮があったにもかかわらず昨年、韓国検察が捜査と公訴の申し立てを進めたことに対して「無理だった」という批判が出ている。
検察が昨年、保守団体の告発によって捜査に着手した直後から論争に火がついていた。加藤前ソウル支局長が昨年8月に朴大統領がセウォル号事故当時の行程について疑問を投げかけたコラムが、名誉毀損に当たるのかが争点だった。マスコミと表現の自由を萎縮させる可能性があると憂慮されていた。
加藤前ソウル支局長のコラムが報じられた直後、大統領府の反応は強硬だった。ユン・ドゥヒョン大統領府広報首席(当時)は、「民事・刑事上の責任を必ず最後まで問う」という立場を明らかにしていた。
その後、検察が異例的に海外のマスコミに対して数回に渡り、出国停止期間を延長して捜査を拡大させ、この事件は日韓の外交問題に飛び火した。日本政府は「言論の自由は民主国家において最大限尊重すべき」として抗議のメッセージを送った。
検察が昨年10月、加藤前ソウル支局長を裁判にかけると、海外のマスコミ界ではすぐに言論の自由を侵害しているという反応を見せた。
海外マスコミのソウル特派員の集まりである「ソウル外信記者クラブ」は、キム・ジンテ検察総長(当時)に、書簡で公式抗議をした。「加藤前ソウル支局長に対する検察の捜査と起訴決定がマスコミの自由な取材の権利を侵害する素地があり、深刻な憂慮を表する」と反発したのだ。
日本のマスコミも加藤前ソウル支局長の起訴が伝えられると、批判的な声を上げた。西欧の反応も大きく違いはなかった。
当時、日本のメディアは「日本では名誉毀損でマスコミの刑事責任を追及した例はほとんどない」とし、「『日本のマスコミを牽制するためだ』などといった韓国側の対応に疑問の声が上がっている」と指摘した。
また米メディアも「朴大統領が自分のイメージのためにマスコミを弾圧するという批判が出ている」と伝えた。
一方、検察は「今回の事件は告発があって捜査したもので、外国のマスコミを弾圧しようとすることは全くない」と反論した。検察の一部では、加藤前ソウル支局長の起訴について慎重な反応を見せていた。しかし起訴を決定したのは、大統領府の審議に逆らうのが難しかったためだという指摘も出ている。
法廷では17日、加藤前ソウル支局長の記事の内容が虚偽であり、“個人”の朴槿恵の名誉を毀損したと判断しながらも、無罪を言い渡した。「言論の自由を明示的に保証した憲法の精神を考慮しないわけにはいかず、公職者に対する批判はできる限り保証されなければならない。韓国人としては加藤前ソウル支局長の視点に同意しがたい部分が多いが、言論の自由は少数の意見を保護するためのものである」と理由づけた。
検察は無罪判決について「判決文を検討した後、控訴をするかどうかを決定する」と公式立場を明らかにした。しかしこの日の判決を前に、外交部が検察に加藤前ソウル支局長の善処を訴える公文を送った事実が明らかになり、検察としては今後、法廷での攻防を続けていく名分も難しい状況に置かれることになった。
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