全北大学の研究チームが世界に先駆け、酸化亜鉛ナノ構造を利用しヒドラジンを検出できるナノセンサーを開発した。同大学によると、センサーは次世代エネルギー素材・素子事業団のハン・ユンボン教授のチームが開発したもので、既存の炭素ナノチューブセンサーに比べ10倍以上の高感度で、5秒以内に微量のヒドラジンを検出できる。
 酸化亜鉛ナノ構造は燃料電池や太陽電池の電極材料、発光素子、バイオセンサー、化学センサーなどに使用される金属酸化物半導体材料で、ヒドラジンは燃料電池、ロケット燃料、F-16戦闘機の燃料、腐食防止剤などに使用される物質だ。

 ヒドラジン燃料電池は水素を使用したものよりも出力密度がずば抜けて高く、日本などでも活発に研究が進められている。ただ、ヒドラジンは発がん性が高く、呼吸器や皮膚などに致命的な影響を与え得る有毒性物質に分類され、環境汚染を予防する意味でヒドラジンを検出したり燃料に活用するために高感度で測定できるセンサーの開発が急がれていた。ハン教授は、酸化亜鉛ナノセンサーがヒドラジン燃料電池、ロケット燃料、環境監視システム構築などの分野で重宝されればと期待を示している。

 研究結果は、英国王立化学会誌「ケミカル・コミュニケーションズ」に掲載される予定だ。


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