金さんは人間文化財の李梅芳(イ・メバン)氏に師事して僧舞などの伝統舞踊を学び、2005年には文化財庁から人間国宝の後継者にあたる「伝授教育助教」に指名された。
大阪韓国文化院などによると、金さんは2007年に仏門に入り、ことし4月から日本・徳島県に位置する四国霊場13番札所「大日寺」の住職を務めている。大日寺は815年に建立され、創建1200年を目前にしている古刹で、真言宗の主要寺院のひとつでもある。四国八十八か所の寺院のうち外国人の住職は前例がなく、女性の住職も金さんが唯一。
金さんがこの寺の住職に就いたのには、仏教の教えのひとつ「因縁」によるところが大きかった。金さんは1995年に四国公演を行った際、後に夫となる大日寺の大栗弘榮住職と出会った。公演を見た大栗住職は、その踊りに感銘を受けたという。2人は翌年に結婚し、金さんは韓国籍のまま韓日をはじめとする全世界をめぐり精力的に舞踊公演を行った。
2007年に大栗住職が脳梗塞(こうそく)で倒れ、闘病の末に亡くなると、夫の遺志を継いで仏教に帰依した。仏教は門外漢も同然だったが夜を徹して勉強に励み、8か月にして日本の僧侶資格試験に合格。1年後には宗団の高僧らの厳格な審査をパスして住職に任命された。外国人女性が住職に就くことに宗団内部では反対の声も少なくなかったが、修行に精進する誠意と努力が認められ任命が決まったという。
金さんは「仏門に入ったのは僧になることを勧めていた夫の意向と、当時9歳だった息子の積極的な勧めが契機にはなったが、これまでわたしをたくさん支えてくれた仏教との目に見えない因縁が大きな力になった」と話す。今後は住職として寺と信徒を率いる一方、韓国舞踊を世界に伝える活動も活発に続けるという。「過去に日本へ仏教を伝えた古代朝鮮半島の僧侶らのように、僧侶、舞踊家として韓国と日本の架け橋役を果たしたい」と意欲を示した。
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