ニューヨーク市立大学で「北東アジア歴史インターンシップ」の講座を担当するキム・ジミン教授はこう語る。今秋にスタートしたインターンシップは米国社会にあまり伝えられていない北東アジアの近現代史、中でも旧日本軍の従軍慰安婦など太平洋戦争当時に行われた日本の戦争犯罪を教育する。
キム教授は聯合ニュースのインタビューに対し、「学生たちが過去の戦争犯罪について習い、資料集めに参加することで、人権蹂躙(じゅうりん)や大量虐殺のような犯罪が二度と起こってはならないという認識を持ち、それを広める役割を果たすようにしたい」と抱負を語った。
インターンシップは韓国系米国人の支援活動を行う市民団体「市民参与センター」とニューヨーク市立大学クイーンズボーロコミュニティ・カレッジ付設のカッファバーグ・ホロコースト・センターが共同で設置した。
インターンシップの第1期生は12人。米国や中南米、中国出身の大学生が参加している。韓国人はいないという。人種や専攻などはさまざまだが、人権問題と歴史への関心は高い。
第1期生は12月まで教育を受け、ニューヨーク州とニュージャージ州に住む韓国、中国、東南アジア諸国出身の戦争被害者から話を聞き、記録に残す作業に取り組む。7人の韓国人と中国人の戦争被害者がインタビューに応じる意向を示したという。
「初めは忙しい米国の大学生に60~70年前に東アジアで起きた戦争犯罪や人権問題に関心があるのか、と思いました」とキムさんは話す。だが、インターンシップに選ばれた学生たちに会ったから、その考えは変わった。人種や文化は違うものの、人権という普遍的な価値に対する情熱は一緒だった。
キム教授は「このプログラムは自分の話を残したい被害者と人権に関心を持つ学生に貴重な経験になると思う。歴史学界に重要な口述資料を提供する意味も大きい」と強調した。キム教授は今後、学生たちと口述資料を発表し、展示会など多様なイベントを開催する予定だ。全米の大学などに提供する北東アジア歴史の教案を開発する予定だ。
市民関与センターはこのプログラムが第一歩だが、市民や政界に範囲を広げれば、慰安婦や独島、「東海表記」、歴史問題などで韓国に有利な環境をつくれると期待している。
インターンシップの発足式にはニューヨーク州選出の上院議員らや市会議員など地元の政治家が多数出席するなど、大きな関心を示した。出席者らはこのプログラムが日本を非難するためのものではなく、人権を保護するためのプログラムという認識で一致し、積極的に支持する考えを示した。
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