キムはカナダ・オンタリオ州のロンドンで行われた世界選手権で女子シングル歴代2位の高得点で優勝し、17日のエキシビションに登場した。キムにスポットライトが当てられると同時に、会場の大型ディスプレーに前日のフリーの演技や表彰台に立つ姿が次々映し出され、名前がアナウンスされると、約9000人の観衆が大きな拍手で迎えた。
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キムがこの日に選んだ演目は、マイケル・ブーブレの「オール・オブ・ミー」。黒のスーツに中折れ帽といういでたちで、スピンやステップを中心とした軽快な演技で観客を楽しませた。
エキシビション後、キムは「カナダでも反応が良く、うれしい」と満足げな表情を浮かべた。昨年に2回、韓国のアイスショーで披露した演目だが、十分練習できなかったため心配もあったという。だが、キム自身が好きで、地元カナダの歌手でもあるマイケル・ブーブレの曲ならばカナダの観客に喜んでもらえるだろうと思い、これに決めた。
また、キムは同日、韓国の取材陣のインタビューに応じ、今大会を振り返った。
2年ぶりとなるメジャー大会復帰戦となったが、ショートプログラム(SP)、フリーともに完璧な演技を披露し、見事に世界トップに返り咲いた。持ち前の才能に加え、努力すれば必ず報われるという強い信念がもたらした勝利といえる。
「これまで多くの大会を経験する中で感じたのは、練習した分が本番に出る確率が高いということ。今回も練習でほとんどミスをしなかったため、本番でぶれることなく、落ち着いてできた」と語った。プレッシャーに強いと言われるキムでも、コンディションが良くなかったり準備が十分でなかったりすれば心配が先にたつ。「毎日毎日氷の上に立つのはとても大変ではあるが、日々の練習でベストを尽くそうと努力している。逆に本番で、これは練習なのだと考えるようにしている」と、練習の重要さを強調した。
もちろん、努力だけでキムを説明することはできない。才能に恵まれたという面も認めている。それでも「生まれついたものも、努力に裏打ちされなければしなければ何の意味もないと思う」と答えた。
例えばSPでは、トリプルフリップに減点があった。ロング(誤った)エッジの判定は納得しにくいものだったが、気にせずにフリーではもっとうまくこなそうと自分に言い聞かせた。それが、フリーでのより完成度の高い演技につながった。
今大会は4年ぶりの世界選手権優勝に加え、来年のソチ冬季五輪の韓国出場枠「3」を獲得したということでも意味が大きい。キムは「五輪という舞台は、韓国のフィギュア選手にとって貴重な経験だ。結果はどうあれ、大きな大会を経験すること自体が選手に役立ち、良い思い出になる」との考えを示した。韓国選手が大きな大会で世界的な選手と競い合うことで感じることも多いはずだとし、「そうした良い機会を、私だけでなく後輩たちと一緒に経験できることになり、満足」と語った。
キムは19日に帰国の途に就き、しばらく休む予定だ。昨年7月に競技復帰を宣言してから休みなしで、大学の卒業式にも出席できなかった。短い時間でも、何も考えずリラックスして過ごしたいという。
休みを終えれば、本格的にソチ五輪に向けた準備に入る。まずはコーチを決めなければならない。現在のシン・ヘスク、リュ・ジョンヒョンの韓国人コーチ2人は、今月末で契約期間が満了となる。今季に期待以上の成績を上げたことから、再契約も有力とみられる。キムも信頼を寄せている。
また、新しいプログラムも練らなければならない。特に今回のフリーはキムだけでなく周りも気に入ってくれ、これ以上のプログラムができるのだろうかと思うこともある。
新しいプログラムに体が慣れれば、10月中旬か末ごろ始まる来季グランプリ(GP)シリーズに出場する予定だ。順調にいけばGPファイナルに出場でき、その次の大会が五輪になると説明した。
キムは、どの大会でもベストを尽くしたいと強調する。「五輪も舞台が五輪なのであって、同じ大会だ。五輪だからもっと努力し、GPだからペース調整するといったことではない。同じように努力する」と繰り返した。
最後に、ライバル対決が注目される浅田真央について、比較するのを控えてほしいという個人的な希望を口にした。ジュニアのころから周りが言い続けるために、いくら気にしまいとしても気になってしまうと、心情を明かした。
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