【ソウル聯合ニュース】旧日本軍による慰安婦被害者を扱った映画「鬼郷」(原題)が先月末に封切られたこともあり、韓国内であらためて慰安婦被害者の今に関心が集まっている。 韓国女性家族部などによると、政府に登録された慰安婦被害者は238人だがこのうち194人は既に亡くなっており生存者は44人だ。 40人は国内に、4人は海外(日本1人、中国3人)に住んでいる。 平均年齢は89.4歳と高齢で、慰安婦問題が時間との戦いであることを示している。 被害者は家族と生活したり独り暮らしをしたりしている人が大部分だ。 ほかに慰安婦被害者を支援する市民団体・韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)がソウル・麻浦で運営している施設に2人(本来は3人だが1人入院中)、そして京畿道・広州の社会福祉法人「ナヌムの家」に10人が暮らしている。 慰安婦被害者に対しては、韓日両政府が支援や支援の試みを続けてきた。 昨年末、両政府は慰安婦問題について日本政府が責任を痛感し、韓国政府が設立する被害者支援財団に日本政府が10億円を拠出することなどで合意した。 だが、被害者の一部や支援団体は日本政府が戦争犯罪の法的責任を依然として認めていないと主張し、合意に反対している。 日本政府は1995年、民間による募金で「アジア女性基金」を設立し、被害者に「償い金」を支給した。 これに対し当時、韓国の市民団体は同基金のやり方は慰安婦問題に対する国の法的責任を回避するものだと批判し、償い金の受け取りを拒否する運動を繰り広げた。 結局、2002年に韓国内の基金の活動は中断され07年3月に基金は解散した。 ただ、日本側は韓国政府に登録されている慰安婦被害者のうち61人が基金から償い金を受け取ったと主張した。 韓国政府は、当時、公に償い金を受け取ったのは7人で、残りの54人は日本側が名簿を公開していないため受け取りの有無は確認できないとしている。 韓国政府は女性家族部が中心となって慰安婦被害者への支援を続けてきた。 支援の根拠となったのは93年に制定された「日帝下(日本の植民地支配下)での日本軍の慰安婦被害者に対する生活安定支援および記念事業などに関する法律」(慰安婦被害者法)だ。 支援金は93年、生活安定支援金が毎月15万ウォン(現在のレートで約1万4000円)、新規登録者特別支援金が1回500万ウォンから始まった。 現在は毎月生活安定支援金として126万ウォン、看病費が105万5000ウォン(平均)、年間治療費が454万3000ウォン(平均)支給されている。 また、被害者が住んでいる自治体からも支援金が支給されている。 さらに、慰安婦被害者法により、挺対協やナヌムの家など非営利団体が運営する被害者保護施設もプロジェクトに応じて事業費の支援を受けられる。 挺対協が12年に「戦争と女性人権博物館」を建設する際は5億ウォン、そしてナヌムの家が14年に慰安婦歴史館を改築する際などには10億ウォンが支給された。 慰安婦被害者に対する政府の支援は日本の植民地支配期の軍人や強制動員被害者に比べ相対的に多いとされている。 昨年末に韓日政府が慰安婦問題をめぐる合意にこぎつけたものの、挺対協や被害者の一部は合意に反対し日本の謝罪と賠償をあらためて要求した。 市民団体が慰安婦問題を積極的に取り上げ国際的な世論形成を目指し努力してきた点は評価されているが、最近ではこうした団体の活動に批判的な立場を取る韓国の保守団体も出てきている。 ある保守団体は「被害者支援団体と被害者の立場には隔たりがある。特に個別に住んでいる被害者やその家族は韓日合意による補償内容などに強い関心を持っている」と指摘する。その上で「支援団体と被害者は別であると認識すべきだ」と主張している。 慰安婦問題に詳しい関係者は「慰安婦被害者は高齢だからか意思表示はするが一貫しないケースが多い。立場は面会する人や団体によって変わる」と伝えた。 sjp@yna.co.kr
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