「火星12」の発射の様子(資料写真)=(聯合ニュース)
「火星12」の発射の様子(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】米領グアムへのミサイル発射を警告している北朝鮮が、予告通り米軍基地のあるグアムに対する「包囲射撃」を強行する場合、韓米日3カ国はミサイル防衛(MD)システムを総動員して北朝鮮の弾道ミサイルへの対応に乗り出すとみられる。 また、北朝鮮のグアム包囲射撃が韓米日3カ国のMDの統合的運営を加速させるきっかけになるとの展望も出ている。 北朝鮮軍の金洛兼(キム・ラクギョム)戦略軍司令官は、グアム包囲射撃を行う場合には中距離弾道ミサイル(IRBM)「火星12」4発を同時に発射すると表明したと、朝鮮中央通信が10日報じた。 金司令官は「火星12」の飛行軌道と時間、飛距離、着弾地点などを具体的な数値で提示した。 北朝鮮がグアム周辺の海域を狙って「火星12」4発を同時に発射する場合、韓米日3カ国のMDシステムは即時対応に乗り出すと予想される。 弾道ミサイルの発射は上昇、中間、終末の3段階に分けられるが、韓米日3カ国のMDシステムは段階別に北朝鮮の「火星12」を探知・追跡・迎撃することができる。 上昇段階とは弾道ミサイルが発射直後に推進剤を燃焼させ、打ち上がる段階で、光と熱を発散するため探知・追跡は容易だが、迎撃は困難だ。 北朝鮮が「火星12」を発射すると、韓国軍が運用するイージス駆逐艦、早期警戒管制機E737(ピースアイ)、弾道ミサイル早期警報レーダー(グリーンパイン)などが最初に探知する可能性が高い。 韓国軍は「火星12」の発射情報を米国と日本に即時伝達し、迅速に対応システムを稼働させるとみられる。 中間段階は弾道ミサイルが推進剤の燃焼を終えて大気圏の外を飛行する段階で、最も時間が長い。 軍事専門家らは、弾道ミサイルの迎撃は中間段階で行うのが最も安全だとみている。大気圏の外で弾道ミサイルを迎撃すれば、破片が発生しても大気圏に進入する際に燃えて消滅する可能性が高いためだ。 中間段階の弾道ミサイルを迎撃する兵器が、イージス駆逐艦が搭載する海上配備型迎撃ミサイル(SM3)だ。SM3の迎撃高度は最大500キロに達し、大気圏を越える高度で敵の弾道ミサイルを破壊できる。 日本列島の周辺に配備された米日両国のイージス駆逐艦は、SM3を用いて「火星12」を中間段階で迎撃する可能性が高い。韓国海軍のイージス駆逐艦はまだSM3を搭載していない。 京都の経ヶ岬と青森の車力の自衛隊分屯基地内にある米軍の通信所に配備されたXバンドレーダーは、「火星12」の上昇段階から軌跡を追跡して迎撃に必要な情報を提供するとみられる。 弾道ミサイルが再び大気圏に突入し、標的に向かって下降するのが終末段階だ。終末段階は時間が短く、迎撃の機会が少ないため非常に精密な迎撃が必要となる。  米国はグアムに配備した最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」で「火星12」の終末段階の迎撃を行う可能性がある。 THAADの迎撃高度は40~150キロで、大気圏の外を含む。「地域防衛」方式のTHAADは前方に200キロ、後方に100キロの広い領域を防衛する。北朝鮮の予告通りグアム周辺の30~40キロの海域に「火星12」4発が落下した場合、THAADの迎撃範囲に入る。 グアムには地対空誘導弾パトリオット(PAC3)も配備されているとされる。PAC3の迎撃高度は30~40キロで、THAADと多層防衛網を構築して迎撃率を高める。 北朝鮮が予告した「火星12」の飛行時間は17分45秒だ。韓米日3カ国は、発射段階からMDシステムを総動員して緊密に情報共有するとみられる。 韓米日はこれを通じて、MDシステムの統合的運用の必要性を確認する可能性がある。監視システムであるレーダーは、地上、海上、空中を基盤とする各レーダーの情報を統合的に運用するほど、弾道ミサイルの軌跡の誤差を減らすことができるためだ。 北朝鮮のグアム包囲射撃がきっかけとなり、中国が最も懸念する韓米日3カ国のMDの統合的運用が現実化するかもしれないとの展望も出ている。
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