金正恩委員長(左)とトランプ大統領=(ワシントンAFP=聯合ニュース)
金正恩委員長(左)とトランプ大統領=(ワシントンAFP=聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)とトランプ米大統領の首脳会談が来月12日にシンガポールで行われる。史上初の朝米(米朝)首脳会談により、70年近く続いた朝鮮半島の冷戦が終結するかに世界の注目が集まっている。 1953年に朝鮮戦争の休戦協定が締結された後、70年代の米ソ緊張緩和、90年代のソ連崩壊、東西冷戦終結など世界史の大転換の中、唯一残った朝鮮半島の冷戦の軸となった朝米間の敵対関係は、終結に向けた岐路に立った。 実際には冷戦は北朝鮮の金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)、金正恩(キム・ジョンウン)の3代世襲による独裁体制を維持できた動力でもあった。北朝鮮が核開発に乗り出し、米国との敵対関係によって安保の脅威を高めたことは、政権の耐久性を強化する面があったためだ。 北朝鮮は、安保問題は米国と交渉しなければならないと一貫して強調してきたが、金正恩政権は核兵器を手放して経済国家を建設すると前向きな態度を示している。体制維持に向けた安全保障はもちろん、朝鮮半島の恒久的な平和の定着も保障されなければならないという立場だ。 民主党から共和党への政権交代に伴って対北朝鮮政策を急変させた米国は、トランプ政権で北朝鮮の完全な非核化を実現するとして朝鮮半島の冷戦終結への意思を強く示しており、注目される。 朝鮮戦争以降、米国はクリントン政権時代の「ペリー・プロセス」に代弁される北朝鮮包容政策とブッシュ政権が北朝鮮をイラン、イラクと共に「悪の枢軸」と規定したことに象徴される強硬政策の間を行き来してきたといえる。 90年代に北朝鮮核問題が本格化した後、米国は「効果的な」対北朝鮮政策を打ち出していない。 北朝鮮が核開発の凍結と引き換えに軽水炉や重油の提供を受けるとした朝米枠組み合意(94年締結)が高濃縮ウラン開発問題などで崩壊した後、米国ははっきりとした意思を示してこなかった。2003年からの北朝鮮核問題を巡る6カ国協議や、北朝鮮がウラン濃縮活動やミサイル発射を停止する見返りに米国が食品などを支援することなどを盛り込んだ12年2月の合意はあったが、それ以降米国は北朝鮮の挑発的な核兵器とミサイル開発に対して対話と圧力のどちらも行わないまま、無気力な反応に終始した。 そのような中、予測不可能なタイプの指導者といえるトランプ大統領が登場してから朝米対立は最高潮に達し、劇的に朝米首脳会談の開催を迎えることになった。 外交のセオリーより取引の本能に忠実なトランプ大統領、祖父や父と違い果敢で実用的なスタイルの金正恩委員長、そして仲裁に向け積極的に努力する文在寅(ムン・ジェイン)大統領という3者間の「相性」が朝米首脳会談を誕生させた要因といえる。 今回の会談が誰も経験したことのない、世界史の中でも記念碑的な出来事であることに異を唱える者は少ない。 トランプ大統領と金委員長の会談は「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」(CVID)と北朝鮮の体制保証を引き換える交渉になるとみられる。また、このような議題が妥結に至れば、朝鮮半島だけでなく北東アジアの安保体制に影響を与える「ビッグバン」につながる可能性がある。 この場合、朝米の国交正常化と平和協定の締結、北東アジアの多国間安保体制構築の可能性も予想され、朝鮮半島の冷戦終結も期待できる。 しかし、明るい展望のみが示されているわけではない。 朝米首脳はすでに引き返せない地点まで来ており、何らかの合意に至るとの見方が優勢だが、その合意が描く未来が「核のない平和」になるか「核の上の平和」になるかは明言できないという指摘もある。 北朝鮮がCVIDに期限も含め合意したとしても、過去の北朝鮮の核放棄プロセスが一度も越えられなかった「検証」という峠を越えなければならない。これまで北朝鮮が核実験やミサイル発射などで蓄積したノウハウや保有するウラン、核兵器などの処理に関する議論という壁も立ちはだかる。 高麗大統一外交学部の南成旭(ナム・ソンウク)教授は11日、「トランプも金正恩も、首脳会談開催の合意には自国内に対する政治的配慮が作用したため、その場しのぎ的な合意に至ることをまずは警戒しなければならない」とし、「合意の履行と検証のための真の努力がなければ、3年もたたずに破棄の危機にひんしたイラン核合意の道を歩むことになるかもしれず、最後まで慎重に見守らねばならない」と述べた。 東国大北朝鮮学科の金榕炫(キム・ヨンヒョン)教授は「トランプと金正恩は後に引けない状況だが、多少の問題があっても場を壊さないように韓国、中国、日本、ロシアの首脳が役割を果たす必要がある」とし、「朝米首脳が先に舞台に立ったが、これからは皆が共に舞台に立たねばならず、降りようとした方が最も大きな損をする構図を作らねばならない」と主張した。
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