【ソウル聯合ニュース】日本による植民地時代に強制徴用された韓国人被害者と遺族85人が日本製鉄(旧新日鉄住金)、日産化学、三菱重工業など日本企業16社を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は7日、原告の訴えを却下する判決を言い渡した。 却下は訴訟要件を満たしていない場合に、審理を行わず下す決定だ。原告敗訴と同じものといえる。 地裁は「韓国の国民が日本や日本国民に対して持つ個人請求権は韓日請求権協定によって消滅、放棄されたとはいえないが、訴訟で行使することは制限される」と判断した。 また、「韓日請求権協定やそれに関する了解文書などの文言、請求権協定締結の経緯や締結当時に推測される当事者の意思、請求権協定締結による後続措置などを考慮すれば、被害者の損害賠償請求権は請求権協定の適用対象に含まれる」と指摘した。 韓日請求権協定が両国国民の相手側の国と国民に対する請求権に適用されるため、韓国国民が訴訟を起こして権利を行使することは制限されるとの判断だ。 地裁は「ウィーン条約第27条によると、植民支配の違法性を認める国内法的な事情だけで、一括補償、または賠償すると合意した条約である請求権協定の不履行を正当化できず、韓国は国際法的に請求権協定に拘束される」と判断。「本件の請求を認めることはウィーン条約第27条の禁反言の原則など国際法に反する結果を招きかねない」とし、「原告の請求を認める判決が確定し、強制執行まで行われると、国家安全保障と秩序維持という憲法上の大原則を侵害するもので、権利濫用に該当し許容されない」と述べた。 同訴訟は強制徴用被害者が韓国で起こした訴訟のうち最も規模が大きい。当初は17社を相手に提訴したが1社に対する訴訟は取り下げた。原告は85人だが、うち1人が2社から被害を受けたとしており、実際は84人という。 地裁は当初、10日に判決を言い渡す予定だったが7日、原告と被告側に判決期日を変更すると伝えた。 原告側は直ちに控訴する考えを明らかにした。 今回の判決は2018年10月の大法院(最高裁)の判決と異なる判断だ。当時、大法院は強制徴用被害者4人が起こした訴訟で日本製鉄に対し、原告1人当たり1億ウォン(約980万円)を支払うよう命じた。
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