北朝鮮のウェブサイト「わが民族同士」は4日、平壌出版社が「北南関係の大転換 2018」と題した写真集を発行したと報じた。18年4月、板門店で対面した南北首脳の写真(わが民族同士のホームページより)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領の退任を約1週間後に控え、2018年の南北首脳会談の写真をまとめた写真集を発行した。南北関係が冷え込む中でのこうした写真集発行は、文大統領に対する一種の「餞別(せんべつ)」の意味合いがあるとの見方も出ている。首脳会談を金正恩(
キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)の「業績」として記録する狙いもありそうだ。 北朝鮮の韓国向け宣伝用ウェブサイト「わが民族同士」は4日、平壌出版社が「北南(南北)関係の大転換 2018」と題した全83ページの写真集を発行したと報じた。 写真集は序文で、18年の正恩氏の「大勇断」により南北関係に劇的な変化が起きたとし、当時の関係改善を正恩氏の業績としてたたえた。同年の3回の南北首脳会談については、「北南関係が完全に新たな段階に入ったということを内外にはっきりと示した」と意義を伝えた。 約100枚の写真を収めた写真集は、正恩氏の18年の新年の辞で始まる。正恩氏がこの新年の辞で、韓国開催の平昌冬季五輪に代表団を派遣する用意があると表明した瞬間を南北関係改善の起点と位置付けた格好だ。 写真集は、同年4月に南北軍事境界線がある板門店で開いた南北首脳会談での両首脳の姿を収めた約30枚の写真を載せている。文大統領と正恩氏が笑顔で握手を交わす姿、軍事境界線を越える様子、記念の植樹、「徒歩の橋」での対話、板門店宣言への署名など、主だった瞬間を捉えたものだ。 文大統領が初めて訪朝し、正恩氏と平壌共同宣言を採択した9月の南北首脳会談にまつわる写真は約40枚掲載している。 このほか、5月に急きょ板門店で開いた南北首脳会談、その前の2月と3月に北朝鮮と韓国がそれぞれ相手側に派遣した代表団の写真も掲載した。正恩氏の妹の金与正(キム・ヨジョン)党副部長が平昌冬季五輪の開会式で文大統領と並んで座っている写真などもある。 北朝鮮は、先に発行した正恩氏の党トップ就任10年の記念切手や、正恩氏の外交活動をまとめた写真集から意図的に文大統領の写真を外した。18年の3回の南北首脳会談と史上初の米朝首脳会談で大きく動いた朝鮮半島情勢が19年のベトナム・ハノイでの米朝首脳会談の決裂以降は行き詰まり、その責任を韓国に転嫁してきた北朝鮮の不満の表れと見られていた。 だが、北朝鮮としても正恩氏が最高指導者に就いてから初めて行った南北首脳会談に意義を与える必要があったことから、文大統領の退任のタイミングで写真集を発行したとみられる。 退任する文大統領への餞別の意味合いもありそうだ。正恩氏は先月、文大統領の親書への返信で、「最後まで民族の大義のため尽力した文大統領を高く評価し、敬意を表したい」「退任後も変わらず尊敬する」と個人的な信頼を示していた。
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