韓国の「ハナ証券」は、昨年に続き今年上半期も外国為替市場が通貨政策の影響圏内にあるものの、視線は米国連邦準備制度(Fed・連準)から、欧州中央銀行(ECB)と日本銀行(BOJ)に移行すると見通した。連準の通貨緊縮と流動性の縮小によるドル高モメンタム(勢い)は、次第に消滅するだろうという分析だ。
一方、ユーロ圏では根源物価(農産物と石油類を除いた指数)の上昇圧力が高まっている。そのため、上半期中に急激な金利引き上げを断行し、3月から資産買い入れ規模を月150億ユーロずつ減らす、「量的緊縮政策」を開始するものとみられる。
収益率曲線管理政策の変化を示唆した日銀も、漸進的な政策正常化の岐路に立たされる。
このような主要先進国による通貨政策の差別化は、上半期の米ドル安を誘導する見通しだと、ハナ証券では分析している。
これに対し、ハナ証券は下半期に外国為替市場の視線が、景気のファンダメンタルズ(基礎的経済指標)と物価に移動すると予想した。
米国経済が主要先進国に比べて良好で物価の安定速度が遅いため、連準が年末まで高金利を維持するだろうという説明だ。連準が金利を引き下げない場合、外国為替市場は景気のファンダメンタルズに注目し、ドル高になる可能性がある。
世界的に景気が鈍化している中では、安全通貨に対する選好度が高まる。高危険・高収益資産である新興通貨に対する選好度は、制限的だとみられる。
ハナ証券のチョン・ギュヨン研究員は、「ウォン・ドル為替レートは米ドルの行方に連動し、V字回復を期待する」と述べた。
金利引き上げサイクルが終わる前まで、連準委員のタカ派的(緊縮選好)基調が浮上し、第1四半期の外国為替市場は変動性相場が避けられない。しかし、結局主要国通貨政策の差別化に連動し、為替レートは上半期まで、下落傾向が続くとみている。2010年以降、平均実質実効為替レートを適用する場合、1240ウォン(約130円)水準まで下落する可能性があるという分析だ。
中国株に対する外国人需給改善の可能性と、人民元の制限的な強気の流れもウォン高を支持する。ただ、グローバル交易量の急減と半導体輸出の不振などで、韓国内での貿易収支赤字が年内も続くとみられる。信用拘束に対する警戒心理が一部残っている点などを考慮し、ハナ証券では、今年末までウォン・ドル為替レートが1200ウォン(約126円)台にとどまるものと予想した。
チョン研究員は「下半期には米ドル価値の回復に連動し、ウォン・ドル為替レートも小幅上昇するだろう。2023年の平均ウォン・ドル為替レートは、1255ウォン(約132円)前後を記録する見通し」と予想した。
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