20日韓国国防部(防衛省に相当)によると、昨年12月に韓国国防研究院(KIDA)は北朝鮮のICBM発射費用を1基当たり2000万~3000万ドル(約26億~40億円)と推算した。これをコメの輸入金額に換算すると、中国産のコメ3万5946~5万3919トンを輸入することができる。北朝鮮が食糧の大部分を輸入している中国のコメの価格は先月、1トン当たり3821元(約7万5000円、農水産食品流通公社資料)だ。
北朝鮮が中国から昨年輸入した食糧の3分の1に該当する規模だ。中国海関総署(税関)の統計を見ると、北朝鮮が中国から輸入した食糧(コメ・小麦粉・トウモロコシ・でんぷん)は昨年13万383トンだ。単純にミサイル1基で昨年輸入した食糧の27~41%を仕入れることができるという計算になる。
ただ、ミサイル発射費用は複合的な変数が絡んでおり、追加の機会費用まで考慮しなければならない。まず、ミサイル製造に使われる原料の「硝酸アンモニウム」が肥料を作る原料と同じだ。単純にミサイルを作らなければそれだけ肥料を多く作ることができるという構造だ。肥料が農業生産量を増やすことができる点を考慮すると惜しいことだ。農村振興庁が推算した資料を見ると、昨年北朝鮮で生産した食糧作物は451万トンで、2021年(469万トン)より18万トン(3.8%)減少した。
北朝鮮の農産物の需給動向も変数だ。米国の北朝鮮専門メディア「38ノース」は先月、「昨年8月基準で北朝鮮の食糧可用性が最小限の水準に墜落した」とし、1990年の大飢饉(ききん)以来、最悪だと分析した。これとともに、北朝鮮のICBM発射直後に召集された国家安全保障会議(NSC)は、「食糧難により餓死者が続出している状況」という点に言及し、ミサイル発射を批判した。
ただ、北朝鮮の食糧難が心配する水準ではないという分析もある。北朝鮮の中国からの食糧輸入量は昨年が前年(1020トン)より急増したのは正しいが、2019年(41万4346トン)と比べると3分の1に過ぎない。これをもとにすると北朝鮮内の食糧需給事情は安定化したとも分析される。韓国統一部のクォン・ヨンセ(権寧世)長官は今月15日、「北朝鮮の食糧状況が良くないようだ」としながらも、「餓死者が続出する程度ではない」と話した。NSCとはやや温度差が感じられる言及だ。
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