キム・ジョンウン の最新ニュースまとめ
党中央委員会拡大総会は農業部門の改善という「緊急の」課題を話し合うためとして、先月26日に始まった。金総書記は最終日の1日の会議で、「農業の生産量を増やすため、すべての農場で収穫高を高めることに重点を置いて闘争することが重要な農業生産指導の原則にならなければならない」と述べた。その上で、かんがいシステムの改良や近代的な農業機械の生産、耕地の拡大を指示した。
韓国統計庁が先月28に日に発表した調査結果によると、北朝鮮の昨年の米作付け面積は53万9679ヘクタールで、前年比0.8%減少した。これは韓国の74.2%の水準にあたる。また、昨年の作物生産は夏の豪雨や、新型コロナウイルスの流行で中朝貿易が途絶え、肥料や農業機械が不足したことなどが影響して前年比で4%近く減少した。
こうした中、農業政策の幹部らが穀物などの生産不振について一斉に謝罪したと労働新聞が伝えた。
現在、北朝鮮の食糧難は、1990年代半ばの大飢饉以降、最も深刻な状況となっているとされる。今年1月、韓国メディアが米国の北朝鮮専門メディア「38ノース」の報道を引用して伝えたところによると、北朝鮮の穀物の需要と供給量、食料価格などを基に分析した結果、穀物の在庫量が最低必要量以下に下がっていることが分かった。最低必要量は、食糧均等配分を前提に社会維持に不可欠な食糧の下限をいう。北朝鮮は、国連食糧農業機関(FAO)基準の最低必要量の80%水準と推定された。
また、北朝鮮は昨年、過去にない頻度でミサイル発射を行ったが、昨年、ミサイル発射にかかった費用で全住民が46日間食べられる米を購入できるとの試算も出ている。
韓国の聯合ニュースが先月上旬、消息筋の話として伝えたところによると、北朝鮮南西部のケソン(開城)で1日当たり数十人の餓死者が発生しているという。
こうした深刻な食糧難の中、豊かな暮らしをしていることをうかがわせる金総書記の娘、ジュエ氏の姿に、住民が不満を募らせているという。米政府系のメディア「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が伝えたところによると、同局の取材に応じた北朝鮮北西部のピョンアンプクド(平安北道)の住民消息筋は「今月(2月)だけでも、軍事パレード(8日)、スポーツ競技観覧(17日)に続き(先月25日に行われたニュータウンの着工式現場で)3回目の登場となったお嬢様(ジュエ氏)の姿を注視した住民たちは、『(ジュエ氏が)どれだけしっかり食べているのか、顔が白くて満月のようだ』という話を親しい人間同士でやり取りしている」と明かした。さらにこの消息筋は「今、住民らはきちんと食べられずに頬がこけ、非常にみじめだ」と住民の実情を説明した上で「ところが(ジュエ氏は)いいものを食べていい暮らしをしている貴族の顔で、しかも華麗な服装がテレビで頻繁に放送されるのだから腹が立って耐えがたい」と語った。
前出のRFAの取材に応じた消息筋は「住民らは、宣伝メディアに頻繁に登場するお子様(ジュエ氏)の白くて丸々とした顔を見ながら、食糧不足で日々の食事もきちんととれない庶民の子供のやせこけた顔とあまりに違うと、込み上げる怒りの感情をそのままぶちまけている」と語った。
こうした住民の不満の高まりを察知したのか、金総書記は前述のように「数年内の農業振興」に向けた対応を指示。労働新聞は「穀物生産問題をあれほどまでに考えてくださっている労苦を考えれば、罪悪感で頭を上げることもできない」とする農業政策幹部の発言を引用し、食糧問題に対する金総書記の関心の高さを強調した。住民の不満をかわそうとしているようにも受け取れる。
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