閣議を主宰する尹大統領=4日、ソウル(聯合ニュース)
閣議を主宰する尹大統領=4日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は4日の閣議で、コメ価格の安定を目的に超過生産分の政府買い上げを義務付ける糧穀管理法改正案に対し拒否権(再議要求権)を行使した。改正案は野党の主導で先月23日に国会本会議で可決されたが、国会に差し戻されることになる。尹大統領が大統領の権限である法案拒否権を行使するのは昨年5月の就任後初めて。

 この日の閣議では改正案の再議要求案が議決され、尹大統領が承認した。

 糧穀管理法改正案は、コメの需要に対し生産量が3~5%上回るかコメ価格が前年比5~8%下落した場合に、政府が超過生産分を全量買い上げる内容を柱とする。

 尹大統領は改正に否定的な立場を繰り返し示してきた。 国の財政に過度な負担を与える上、過剰生産をあおりかねず、結果的に農業の競争力を低下させる恐れがあると判断した。

 国会本会議可決後の先月27日、尹大統領は韓悳洙(ハン・ドクス)首相に対し政府と与党が緊密に協議して意見を取りまとめるよう指示した。翌28日の閣議では関係閣僚から国会での再議が必要との報告を受けた。 

 改正案は再び国会に戻され、採決にかけられる見通しだ。在籍議員の過半が出席し、出席議員の3分の2以上が賛成すれば可決となり、改正法として確定する。

 在籍議員299人のうち与党「国民の力」議員は115人と3分の1を超えるため、可決の可能性は低いとの見方が強い。

 大統領の拒否権は、2016年5月に当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領が聴聞会の常時開催を可能にする国会法改正案に対して行使して以降、7年近く使われていなかった。


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