尹大統領(資料写真)=(聯合ニュース)
尹大統領(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国大統領室が、大学修学能力試験(日本の大学入学共通テストに相当)から教育課程外で非常に難易度の高い「キラー問題」を排除する方針であることが、19日分かった。 大統領室の関係者は同日、聯合ニュースの取材に対し「キラー問題を解くことができてこそ良い大学に入学でき、そのために学習塾に通わなければならない状況はあまりに異常だ」との認識を示した。また、教育課程内でも十分に実力を評価する問題を出題することができるとして、9月に実施される模擬試験ではキラー問題を出題しないと明らかにした。 教育市場では「キラー問題1問が1兆ウォン(約1100億円)の価値を持つ」とされ、このような問題を解くためのノウハウを教える学習塾が莫大(ばくだい)な利益を上げている。 尹大統領は今年3月からこうした難問を排除するよう複数回にわたり指示していたが、6月の模擬試験で再びキラー問題が出題され、論争を招いた。この問題を巡り、先週には教育部の大学入試担当局長を更迭した尹大統領は、9月の模擬試験と11月の大学修学能力試験ではキラー問題を出題しないよう改めて要請したという。 長期的にはキラー問題によって成績評価を容易にしてきた教育当局と、入試テクニックを教えることで私腹を肥やしてきた教育業界との間の「利権カルテル」の解体を狙っているとみられる。尹大統領は「生徒たちを私教育市場に追い立てる利権カルテルは教育秩序をゆがめ、生徒たちが同じスタートラインで公正な機会を得ることを阻害する」と懸念を示した。 これに関して与党「国民の力」の関係者は、尹大統領が検事総長時代に文在寅(ムン・ジェイン)前政権で法務部長官などを務めた曺国(チョ・グク)元ソウル大教授の娘の大学入試不正事件などを捜査した際、不正カルテルの実態について豊富な知見を得たと説明。「尹大統領は検察時代から大学修学能力試験の問題を毎年検討し、教育専門家に劣らない知識を持っている」と強調した。 ただ、尹大統領は私教育そのものは否定しておらず、「学校の進度についていくのが難しく、一部私教育の助けが必要な生徒もいるかもしれない」と言及したという。 一方、大統領室は尹大統領が李周浩(イ・ジュホ)社会副首相兼教育部長官に対し直接警告したという一部メディアの報道は事実と異なると指摘した。関係者は「記者会見に不手際があり尹大統領の指示が誤って伝わった部分があるが、副首相の責任論を問うようなことではない」と述べた。
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