イ・ウンミ
イ・ウンミ
同じ曲であっても、聴き手の解釈が各自の経験や感性によって異なるのは当然のことだ。

イ・ウン の最新ニュースまとめ

 ”裸足のディーバ”ことイ・ウンミが先ごろ発表したミニアルバム「Spero Spere」がそうだった。

 タイトル曲「胸踊る」をはじめ「麻痺」、「愛がこわい」、「大丈夫です」などブルースとロックに基盤を置いた収録曲は、悲しみの水気がいっぱいに溢れている。ハスキーなイ・ウンミのソウルな音色が肺を突くように押し寄せ、ふと精神を込めている。

 先ごろ、ソウル市内でインタビューに応じたイ・ウンミは「悲しみで終わるのではなく、悲しみを慰めるような曲であればと願っています」とし「少しいびつな愛でも良いし、春はまた来るのだと忘れてしまった誓いをまた取り戻すように豊富なメッセージを込めたかったのです」と説明した。

 「私も歳月を全身で受けてみると、歳を重ねるのは”ただ”ではないということを感じています。老眼が始まり、高齢化の中に私が入っているということも衝撃を受けますよね。厳しく追われるように生きて、時には友人に訴えながら心がじんとしたりして…。そうすると生きている感じがしませんか?私のアルバムがそうであれば、と思うのです」

 イ・ウンミは「ある方は悲しいと言いますが、私は歌うとき胸から湧き出るようなものがあって、胸がいっぱいになった」とし「リバーブ(音響装置で声の響きを良くするもの)を除いて、声で歌う部分は感情が高ぶってレコーディングは難しかった」と振り返った。

 今回のアルバムで最も気に入っている曲は「麻痺」と「大丈夫です」だと答え、作詞に参加した「大丈夫です」の一節を口ずさんだ。 

 自身が全身で吐き出した感情をパーフェクトに聴き手へ伝えるための作業は、とても疲れる作業だ。すっきりとした音が収められるデジタルレコーディング方式の弊害を少なくしようとデジタルで作業したアルバムをアナログテープに入れ、再びデジタルに変換するという方式を選んだ。

 自身もデジタル音源ではないCDプレイヤー音楽を聴くため、アルバムを買ってくれるリスナーに対する感謝の気持ちも人一倍大きい。それで、音源公開前にCDをリリースすることにしたのだ。

 彼女は「いまでもアルバムを購入してくださる方々がいるからこそ、公演も行うのです」とし「プロのミュージシャンとして堂々と生きていて、私は運が良い人。そうでないミュージシャンたちが本当に多い」と後輩たちの厳しい音楽環境を心配する。

 イ・ウンミは、自身の音楽を愛してくれるファンたちへ何かを返すための自分なりの結論が社会奉仕だと答えた。彼女は2011年パク・ウォンスン前ソウル市長 野党候補の支持者に合流し、また放送局のストライキコンサートの舞台にも立った。さらに2012年には故ノ・ムヒョン前大統領の追悼アルバムに参加し、ユン・イルサンが作曲した「人間的な、とても人間的な」と歌った。

 「故ノ・ムヒョン前大統領の人生を振り返り、多くを尊敬し、見守っていた一人の人間として哀悼の意を捧げたかったのです。音楽人であるため、音楽的に表現することも重要だと思いました。でも、その曲をレコーディングだけして、その後は一度も歌ったことがない不幸な曲です」

 イ・ウンミは「私の音楽の重要なテーマは愛で、一部では社会参加メッセージを込めないのかと問われます」とし「音楽は純粋でなければならない。意図的な道具として利用されることは、私が考える音楽に対する冒涜」と強調した。

 私生活では2011年1月、在米韓国人の事業家と結婚したが、普通の人としての人生と音楽人としての人生は分離されているという。

 彼女は裸足で歌うライブの女王らしく、今回も下半期から全国をまわり歌を届ける考えだ。デビュー20周年でも地方自治団体が作った全国の大小の文化芸術会館をまわり63の都市で136回の公演を行った。

 「自治体が国民の税金で建てた公演会場は、公演予算が不足しているケースが多いです。それで、アルバムを出すたびに文化芸術会館長に送って、私たちは制作費を下げてでも行きます、と話しています。実際、全国をまわって数日に一回ずつリハーサルを5~6時間行い、公演まで10時間ずつ歌うと本当に大変。ある日は、アンコール曲を歌う瞬間からソウルに帰るバスに乗っているときまで泣くこともあります。その峠を越えてツアーを終えると、ぐっと込み上げてくるものがある、それが音楽なのでしょう」。

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