俳優ナムグン・ミン(提供:OSEN)
俳優ナムグン・ミン(提供:OSEN)
実は俳優ナムグン・ミンにインタビューするというので、内心では恐ろしい気持ちが大きかった。2月に放送終了したSBSドラマ「リメンバー―息子の戦争」(以下、「リメンバー」)で、ひとりよがりな“悪役王”を見せたからだ。しかし実際に会った彼は違かった。和やかな笑みは温かく、ソフトな男だった。

ナムグン・ミン の最新ニュースまとめ

 ナムグン・ミンは「演技をしながら、自分が配役に合っているのか、それとも合っていないかと感じるんですが、今回は本当にいい感じでした。それは全て監督のおかげです。一週間に70分のドラマを2本、指揮しながら俳優に対する信頼が揺らがなかったし、信じてくれる姿に感動しました。次もイ・チャンミン監督が僕を呼んでくださるなら、どんな役でも関係なく一緒にやると思います」と言いながら、気分よく笑った。

 ナムグン・ミンは「リメンバー」の主人公だと言っても遜色ないほどだった。歴代級の悪役に挙げられ、ドラマ全体を同時に視聴者から全面的に愛された。昨年放送されたドラマ「匂いを見る少女」以降、再び悪役を選択したのだが、相次ぐ悪役は陳腐だと評価されるものだと予想されていたが、180度違う独創的なキャラクターを完成させ、いわゆる“悪役王”の座に上がったのだ。

 ナムグン・ミンは「リメンバー」のナム・ギュマンに会い、勢いのある演技力を見せた。実際の性格がそうなのかもしれないと錯覚させたこと、元々演技がうまい俳優として挙げられていたが、これほどだとは思わなかった。ドラマを成功させて終えたナムグン・ミンに会い、撮影の裏話から今後の抱負を聞いてみた。


<b>―劇中のナム・ギュマンは前半で死んでしまうキャラクターだったが、後半まで生き残っていましたね。</b>
良かったでしょ。この役は、自分でやると言ったのですが、初めは比重が少ない役でした。しかしキャラクターが良くて配役は大事ではありませんでした。どう違うのか表現するのかが問題でした。世間ではナムグン・ミンが悪役をやりすぎてはいないかと言われていたようですが、僕が見ると違うし、再び挑戦してみたかったんです。内にある怒りではなく、炎のように湧き上がってくる悪役をやってみたいと思いました。(劇中で)かなり悪いことをして申し訳ありません。だけど長く生き残っていたので、気分は良かったです。

<b>―“見ていて息苦しい”ドラマだと言われたりもしましたね。</b>
実際に脚本家と俳優は疎通をしませんし、撮影中に連絡をしたことがありません。代わりに監督とはたくさん話をしました。こう言ったらこれまでの作品の監督が寂しがるかもしれませんが、イ監督は最高でした。ナム・ギュマンという役を大事に考えながら、どうやって出るのか議論をしてくださいました。だから他の路線に行かず、ちゃんと進めたように思います。キャラクターがきちんと路線をつかめないと大変なんですが、監督のおかげですごくよくできたと思います。“見ていて息苦しく”ないドラマにしたかったんですが、最後まで行くのは本当に大変でした。今もうまく終えられたと思っています。とても満足しています。

<b>―これまでの悪役との違いを出そうとしましたか?</b>
14話を撮影するころに、一度危機が訪れました。演技のパターンをとても重く怖くしていったらダメだと感じたんです。こうしていけば、視聴者が見ていてつらいだろうと思って、あえて楽しくしようと深刻な雰囲気の中でぼんやりしたものを入れようと努力しました。そういった部分を気に入ってくださったんだと思います。

<b>―ナム・ギュマンがやってきた悪事の中で、どれが一番悪いと思いますか?</b>
ナム・ギュマンは本当にクズですよね(笑)。自分のことしか考えない自己中心的な人物です。他人に悪いことをしながらも、それが悪いのかわからない性格障害がある人です。初めは悪いことを自然にするのを演じるのが大変でしたが、時がたつほどに大変ではなくなりました。

<b>―台本には忠実な方ですか?</b>
このドラマにはアドリブがたくさんありました。僕は、アドリブがうまいからといっていい俳優だとは思わないんですが、今回はひときわ多かったです。僕がナム・ギュマンだということを、スタッフが信じてくれたおかげです。台本にはなかったのですが、状況によっていろいろなセリフが飛び出して、「この乞食、またついてきたのか」とか、「そうだな、捕まえてみろ」なんてのがそうでした。自分の思い通りに言ってしまって、脚本家の先生には申し訳ない気持ちもあったのですが、僕を信じてくれたのでこれまであれこれ言われなかったんだと思います。

<b>―ドラマを終えた感想は?</b>
他の現場ではあちこちから言われて疲れる時もあり、早く帰りたいと思うこともあるのですが、今回の現場では体はすごく疲れたけど、スタッフと俳優の呼吸が合っていたからか、すごく良かったんです。体はつらいけど、心はつらくありませんでした。

<b>―“悪役王”というニックネームもできましたね。</b>
監督が僕の演技に妥当性を与えてくださったんだと思っています。

<b>―映画「ベテラン」のチョ・テオのアップグレード版だという声もありますね。</b>
似てはいますけど、僕は似ないようにしていました。アップグレードというよりは演じる俳優が違うし、劇中の会社の名前も違うし、父親も違うし(笑)、設定が似ていただけで他は全て違いました。財閥一家だという設定だったので、似ているようにも見えたかもしれません。そういった状況も見て、視聴者が評価をしてくださるのだと思います。僕が自分で「チョ・テオのアップグレード版です」と言うのは違いますよね。

<b>―悪役を演じる時、体力的につらそうですが、どこからエネルギーが発散されるのですか?</b>
怒ることって、結構簡単ではないんですよね。演じながら、本当に死にそうだと思いました。声を出すにも叫ぶから声帯が強くなった気もします。怒る演技を種類別にマスターしたのではないですかね(笑)。(イ・)シオンとは本当に息が合いました。シオンもアイデアをよく出してくれました。

<b>―デビューして17年になりますが、まだ演技への葛藤はありますか?</b>
当然ですよ。新しく作品に入るたびにストレスを受けます。しかし僕は劇中の人物になろうと努力をしますが、研究はしません。例えばその人物の一日を考えながら想像の翼を広げます。だけどディテールの中にキャラクターが出てくるようです。ナム・ギュマンのために歴代の悪役がどうだったのかは見たりしませんでした。俳優が他の人になるという作業自体が大変で、人を敏感にさせます。撮影現場はだんだん楽になるんですが、演じるのはだんだん大変になるんです。(デビューしたころは)いつ呼ばれるだろうかと焦っていましたが、今は現場が楽になったのに演技が何なのかよくわかりません。だから情熱が出てくるのだと思います。

<b>―今回、視聴者からの評価の中でうれしかった言葉はありますか?</b>
演技者にとって最高の賛辞は「演技がうまい」という言葉です。この作品でその言葉を一番多く聞きました。うれしいです。歌手は歌をうまく歌わなければならず、演技者は演技をうまくなければならないと思いながらやってきましたが、視聴した方々がそう言ってくださってありがたいです。

<b>―ことしの“演技大賞”は期待していますか?</b>
僕はそういったことに期待せず、望んでもいません。もちろん賞をいただけたらうれしいでしょうけど、僕は演技がうまいからもらえてもいいだろうなんて思いません。

<b>―他の俳優たちとの呼吸はどうでしたか?</b>
みんな本当にまっすぐで、いい人たちだったので、息が合いました。演技をするにあたって人間性も大したことなくて演技への姿勢もあまりよくないと一緒にやっていくのは大変です。しかし今回一緒だった(ユ・)スンホ、(イ・)シオンなどみんな本当にいい人で演技するのが楽しかったです。

<b>―ユ・スンホをやりこめる時、どんなきもちでしたか?</b>
この人も演技力がすごいですよね。現場で会うと明るいんですが、本番に入るとすぐに変わります。演技への姿勢が本当にいいですね。だからおかげで僕もうまく入り込むことができました。パク・ソンウンさんも長く演技をされている方なのでマインドがいいですよね。共演した人が演技に対するマインドがいいと楽です。

<b>―次の作品ではどのようなキャラクターがいいですか?</b>
まだわかりません。何をするのがいいのか。もうドラマでの悪役はやめなければならないんじゃないですかね。ジャンルを変えて悪役をしたらリアルにできますけど、ドラマでは悪役はある程度上に行った気がします。

<b>―ロマンス物はどうですか?</b>
どんな役でもやれと言われればやります(笑)。役を見てするのではなく、一生懸命にやってみたい、挑戦してみたいと思えて、作品が良ければ受けます。もうキャラクターへのプレッシャーはありません。他の役を演じて「また違う人だね」という反応を聞けるようにしたいです。

<b>―今作で得たものはありますか?</b>
一緒に作っていく人との信頼を得たように思います。僕がナム・ギュマンを演じることに対して「信じてくれているんだ」と思えました。監督が僕に「すごく期待してきた。このシーンをどうするつもりだ?どうやって怒るんだ?」と聞いてくださったんです。おかげで力になりました。

<b>―実際の性格はどうですか?</b>
誤解なさらないでください。いい人ばかり演じていた時は、ナムグン・ミンはどんな悪い役をできるだろうかと言われました。最近はまた反対に考えているのではないですかね。僕は悪い人ではありません(笑)。

<b>―ドラマを愛してくれた人たちに一言お願いします。</b>
ナム・ギュマンを愛してくださり、ありがとうございます。僕がこのキャラクターから抜けられないのではないかと心配する方もいらっしゃるようですが、心配なさらなくても大丈夫です。また違う姿をお見せします。僕の中の情熱が満足しないように努力していきます。




SBS [リメンバー―息子の戦争] - ハイライト映像
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