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■若者の失業率が高い
韓国の若者たちの就職難は深刻だ。
理由ははっきりしている。大学進学率が高すぎるのである。朝鮮王朝時代から続く典型的な儒教社会の影響で、今の韓国も極端な学歴重視になっている。それによって、大学進学率が世界最高レベルの80%以上を記録している。
日本も学歴社会だが、大学進学率は50%を超える程度。韓国の数字がいかに高いかがわかる。
ただし、世の中には大学卒に見合った仕事がたくさんあるわけではない。みんなが大学を卒業すると、限られた就職先を奪い合う結果となる。
しかも、誰もがあこがれるサムスンなどの財閥企業は狭き門。ほんのわずかな人しか就職できない。
そうなると、その他大勢の人たちは、外国語の習得、海外留学、ボランティア活動の履歴づくりに精を出し、就職の際に少しでも有利になるように奮闘している。それでも就職先が見つからずに、三放世代の一員にならざるをえなくなってしまう。とにかく、韓国の若者たちの失業率は高く、改善すべき社会問題になっている。
そんな中で、三放世代と同じ年齢層のスターたちは、同世代からどのように受け止められているのだろうか。
■ネット社会の申し子
東方神起の2人、JYJの3人、チャン・グンソク、イ・ミンホ、キム・スヒョンなどが、三放世代を象徴するスターと言えるだろうか。
彼らは1980年代の後半に生まれているが、それは韓国にとって非常に重要な時期であった。具体的に言うと、1987年に韓国は劇的な民主化が達成されて軍事政権と決別したし、1988年にはソウル五輪が開かれて国威発揚に成功している。
そんな時期に生まれた彼らは、韓国の経済成長を身近に感じながら育ってきた。小学生のときにはインターネットが普及し始め、ネット社会の刺激もたっぷりと受けてきた。「ネット社会の申し子」という意味を込めて「N世代」と呼ばれることもあった。
しかし、その「N世代」が今や「三放世代」になってしまったわけだ。スターといえども、同世代の若者たちの厳しい現実を真摯に受け止めなければならない。
その際に重要なことは「社会問題に敏感である」ということだ。典型的なのが兵役である。芸能活動を優先したために兵役入りが一般の若者より遅れてしまうが、実際に入隊したら表彰されるほど優秀な軍務成績を挙げるスターも多い。
韓国のスターにとって「愛国心がない」と見なされるのは致命傷になるので、その点の配慮(あるいは頑張り)が絶対に欠かせないのである。
■公共の利益のために
若いスターたちも、現在の自分が同世代の中でいかに恵まれているかを自覚している。
そして、自分の損得を後回しにして、公共の利益のために活動しなければいけないと強く思っている。
自ら率先してボランティア活動をしたり、公共団体に多額の寄付をしたり、さらには、韓国のイメージアップのために外国で広報活動に取り組んだり……そういう姿勢を見せているスターも多い。
その姿を見ていると、私(康熙奉〔カン・ヒボン〕)は「若いけれど、現代のソンビと言えるのではないか」と思う。この場合の「ソンビ」とは、朝鮮王朝時代に官職につかずに高い教養を備えていた人たちのことで、精神的なリーダーとして一般庶民の模範になっていた。
そういう伝統は今の韓国にも残っていて、主に宗教界の人たち(仏教の僧侶やキリスト教の神父・牧師)がかつての「ソンビ」の役割を果たしている。ただし、世代があまりに上すぎるので、今の若者たちにとって親近感は薄いかもしれない。
だからこそ、同世代のスターの役割が大きいのである。
■苦難から抜け出す勇気と行動
私は韓流雑誌の編集長をしているときから、韓流スターの記者会見によく出て彼らの発言を聞いてきた。ペ・ヨンジュンにしろイ・ビョンホンにしろ、高い学識に裏付けられた教養ある発言に大いに感心したものである。
それは、若いスターも同様だ。
ペ・ヨンジュンやイ・ビョンホンの世代から見れば、より自由な風潮の中で育った影響で個人主義的な奔放な発言もあるが、その根底には韓国社会で共有できる「正論」をしっかり持っている。
この「正論」とは何かと言うと、「両親を敬い、目上の人を立て、周囲の協力に感謝し、友人を大切にして、社会の一員として自分の役割を全うする」ことである。
特に、「社会の一員として自分の役割を全うする」ことが、今ほど若いスターに求められる時代はかつてなかった。それは、三放世代という現実が重くのしかかっているからである。
若者たちの高い失業率を改善できる特効薬は、今のところない。この現実はしばらく続くことは間違いない。
そういう時代にあって若いスターに求められるのは、「同世代の苦難を自分のこととして受け止めて、そこから抜け出す勇気と行動を高らかに示すこと」である。そのためには、創意と工夫と努力が欠かせない。
三放世代を象徴するスターたちの今後の活躍に期待したい。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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