自民党は先月31日に実施された衆議院総選挙で全体465議席のうち293議席(自民・公明の連立政権)を確保した。勝敗のバロメーターにした単独過半数議席はもちろん、議会を安定的に運営できる絶対安定多数議席の261議席を上回る成果だ。支持率の急落で退任した菅義偉前首相の代わりに今回の選挙で看板に立った岸田首相の政治的立場も強まるものとみられる。
岸田内閣は慰安婦問題や徴用工問題などに強硬基調を続けてきた。特に、韓国裁判所の徴用工訴訟被告である三菱重工業の韓国内資産売却命令に対して「昔の朝鮮半島出身の労働者の問題と関連した韓国大法院(最高裁)の判決と関連した司法手続きは明確な国際法違反」であるとし、「今後も日本側が受け入れられる解決策を韓国側が早期に提示するよう、強く要求する」と反発した。慰安婦問題については朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2015年に締結された日韓慰安婦合意によって終結したという立場だが、岸田首相は当時、外務大臣として同合意を主導した。
岸田首相は前任の安倍元首相や菅元首相に比べると日韓関係において穏健派とされるが、安倍元首相ら強硬派の後援を受けて自民党総裁選挙で勝利を収めたことで、彼らの影響を受けずにいることは不可能だ。
韓国・仁荷(インハ)大学のナム・チャンヒ教授は今月1日、「2Aと呼ばれている安倍元首相や麻生太郎自民党副総裁が韓国に対して輸出規制をはじめとする強硬立場を取ったのとは異なり、岸田首相はやや穏健な立場だ」と評価した。ただ、「岸田首相が選挙の結果、執権基盤は固めたが、来年7月の参議院選挙を勝利に導いてこそ、政治的基盤を確固たるものにすることができる」とし、「自身を首相にした党内主流勢力の声を無視することは難しく、日韓関係にも大きな変化を試みることは難しいだろう」と見通した。岸田首相は就任後、米国やオーストラリア、ロシア、中国、インド、英国の首脳と電話会談を行った後で文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話会談を行うなど、意図的に韓国を後回しにするような態度を見せたことがある。
度を越えた嫌韓気流など、日本国内の政治環境も岸田首相の立場を狭めている。これと関連して、右翼性向の日本維新の会が今回の衆議院総選挙で第3党に跳躍したという点が目を引く。日本維新の会の立ち上げに関与した橋下徹元大阪市長は「慰安婦は必要だった」という発言で物議をかもし、今回の衆議院総選挙で日本維新の会を跳躍させた吉村洋文副代表は「平和の少女像」展示施設取り消しに賛成の意を表明している。
このため、日韓関係はしばらく硬直局面が続く可能性が濃厚だ。ナム教授は「今後の日韓関係において、来年7月の参議院選挙とともに来年3月の韓国大統領選挙が変数になる可能性がある」と述べた。一方、総選挙の影響で主要20ヵ国(G20)首脳会議にリモート参加した岸田首相は、英国グラスゴーで開かれる『第26回 国連気候変動枠組条約締約国会議』(COP26)に出席する予定であり、文大統領との会談が実現するか注目される。
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