(画像提供:wowkorea)
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韓国の世論調査専門会社であるエムブレイン、Kスタット、コリアリサーチ、韓国リサーチの4社が19~21日に実施した世論調査で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領への否定的評価が59%と過去最も高くなった。

韓国メディアからは政権のレームダック(死に体)化を指摘する声も上がっており、任期満了まで約1年となる中、今後、山積する課題にどのように対処していくのか注目される。

世論調査会社4社は、全国の18歳以上の男女1004人を対象に調査を実施。文大統領への肯定的評価は前週の今月第2週と変わらず35%、否定的評価は前週より1ポイント上がって59%だった。年齢別では40代(肯定49%、否定44%)を除いて全ての年齢帯で否定が肯定を上回った。

2017年5月に就任した文大統領。就任から約1か月後の調査では支持率が84%と、直接選挙で選ばれた歴代大統領としては過去最高の支持を得たこともあった。その後は低下傾向が鮮明となり、現在は35%にまで下落している訳だ。

支持率の低下を招いた要因として挙げられるのは、不動産政策の失敗と、新型コロナ対策(いわゆるK防疫)が成果を上げられていないことなどがある。

韓国は日本同様、首都ソウルをはじめ首都圏に居住者が一極集中する状態にあり、首都圏の不動産価格は高騰の一途をたどっていた。不動産価格を安定させるために打ち出した規制強化を中心とした文政権による政策は成果を出せず、マンションなどの価格は上昇。

一所懸命に働いてソウルのマンションを購入したい地方出身の若者の夢を奪い、支持率の低下につながった。日本のような賃借人の権利保護制度が足りない韓国では、契約更新時に無理な賃上げにより涙を飲みながら引っ越しをすることが多いからだ。

新型コロナ対策は、昨年のパンデミック(世界的大流行)初期こそ、「K防疫」という名の防疫対策を誇り、診断キットを輸出するなど勢いがあったが、ワクチン接種という局面を迎えた今、接種率はOECD加盟国の中でも下位に位置し、国民に「安心」を提供できていない。

防疫当局は、ことし9月までに3600万人に1回目の接種を行い、11月までに2回目の接種を完了すると表明。11月中に集団免疫の確保を目標に掲げているが、ワクチンの安定確保に目途が立っていないことから、国民の不満は高まっている。

しかも、日本が十分な量を契約したファイザー社製ワクチンでは無く、血栓形成の副作用が騒がれているAZ社製のワクチンが大部分である。大統領の就任初期に「二度と日本に負けません」と反日感情を支持率に利用した経緯もあり、ブーメランが戻ってきたとも言われている。

今月7日には、来年の大統領選挙の前哨戦といわれたソウルと釜山の市長選で執権与党候補が大敗を喫した。昨年の国会議員選挙(総選挙)では与党が圧勝したが、1年で状況は大逆転。韓国2大都市の市長選での惨敗に、韓国メディアからは「レームダック化」の声も聞かれる。

今回の世論調査では次期大統領選の方向性についても聞いており、「第1野党に政権交代すべきだ」が37%で、「与党政権を維持すべきだ」の31%を上回った。今後この差がさらに広がっていけば、政権交代につながりかねない状況だ。

文大統領は、ソウルと釜山、両市長選の大敗結果を受けて「国民の叱責を厳重に受け止める。国民の切実な要求の実現へまい進する」と述べた。今後、内政の立て直しに集中すると見られ、日本をはじめとする外交の優先順位はおのずと低くなる可能性がある。

逆に、保守政権時代のイ・ミョンバク(李明博)元大統領のように、日韓の暗黙ルールの対象だった竹島(独島)を悪用する「反日キャンペーン」を試みる可能性もある。元慰安婦問題や元徴用工(元募集工)の問題などを更に悪化させる可能性もある。

欲望のために日韓関係を悪用した権力者の後頭部にはブーメランが戻ってきた歴史の法則がある。今、その法則がリアルタイムで目撃できる時間が近づいているかもしれない。
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