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現代自動車は今年2月、日本の乗用車市場に約12年ぶりに再進出すると発表。チャン・ジェフン(張在勲)社長は当時、日本メディア向けに開かれた発表会で日本語によるビデオメッセージを寄せた。「再び原点に戻って真剣に顧客と向き合うことを決意した」とし、「日本市場は学んでいくべき場所であると同時に、挑戦しなければならない場所でもある」と再参入への決意を語った。今年5月から電気自動車(EV)「アイオニック5」と燃料電池車(FCEV)「ネッソ」の受注を始め、先月から納車している。
現代自動車は2001年に日本市場に初進出を果たした。翌年にサッカーの日韓共催ワールドカップを控え、韓国への関心が高まりつつある時期だった。「ヒュンダイを知らないのは日本だけかもしれない」と挑戦的なキャッチコピーの下、「ヒュンダイ・ソナタ」や「ヒュンダイXG(韓国名・グレンジャーXG)」などを販売するも苦戦。2010年に完全撤退した。この間の販売台数は約1万5000台にとどまったという。
今回の再進出では、カーシェアサービス「Anyca(エニカ)」と提携し、購入前に試乗してもらい、販売はネット上で行うという新たなモデルを導入。「いつでも、どこでもオンライン」をキーワードに、見積もりから注文、決済、納車情報の確認まで、オンライン上で行えるサービスを展開している。
今回の日本市場への再進出で主力車種に選んだ「アイオニック5」は、容量58~73キロワット時のリチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離は498~618キロメートル。室内空間は広く、内装は北欧家具風。価格は479万~589万と欧米のライバル車よりも安く設定されている。
韓国では昨年2月の事前契約初日に2万3760台が成約済となり、昨年1年間の販売予定分を1日で達成する大旋風を巻き起こした。また、先行して発売した欧米でも高い評価を得ている。欧州市場では初回限定モデル「ヒュンダイ・アイオニック5プロジェクト45」が予約開始1日で予定台数の3倍以上が成約済みとなった。当時、ヒュンダイ欧州の副社長は「超急速充電と航続距離の長さ、突出した個性が欧州の顧客に評価されている」と語っていた。ドイツでは昨年、自動車専門記者らで構成する審査員が選ぶ「ドイツの今年の車」に選ばれた。審査委員長は「アイオニック5はデザインとエネルギー効率、走行性などいずれも優れていた」と評価した。さらに今年4月には世界的な自動車賞である「2022ワールドカーオブザイヤー」を受賞し、世界で高く評価されていることを示した。
満を持して挑んだ日本再進出だったが、日本自動車輸入組合(JAIA)のまとめによると、先月の輸入自動車の販売台数で現代自動車は60台にとどまった。トップはメルセデスベンツで3325台。これにBMW(2285台)、フォルクスワーゲン(2231台)、アウディ(1402台)が続いた。現在自動車が日本市場で販売している2車種のうち、販売されたのはほとんど「アイオニック5」と推定される。
こうした現状を伝えた韓国紙・東亜日報は「現代自動車は日本の電気自動車市場の成長可能性に期待している。短期的な販売実績より、中長期的な観点から消費者によりなじみあるブランドとして位置づけられる戦略を考えている」と伝えた。
現代自動車は先月30日、横浜市に「ヒョンデ カスタマーエクスペリエンスセンター横浜」をオープン。電気自動車そのものにとどまらず、電気自動車を通じて変わる日常などについても紹介しているという。電気自動車の市場規模が大きくなれば「アイオニック5」の販売も伸びるとの判断からだ。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)は東亜日報の取材に「日本の消費者の場合、価格のほか、差別化された価値を重視するため、この点を積極的に攻略していく必要がある」と指摘した。現代自動車の再挑戦は始まったばかりだ。
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