【ソウル聯合ニュース】韓国前大統領の朴槿恵(パク・クネ)氏らへの贈賄罪などに問われたサムスングループ経営トップの李在鎔(
イ・ジェヨン)サムスン電子副会長が18日の差し戻し控訴審で懲役2年6カ月の実刑判決を言い渡されて再び拘束されたことで、グループはトップが不在となる非常事態を迎えた。李氏は収監中も重要な懸案について報告を受けるとみられるものの経営に直接携わることは難しく、留守を預かるグループ各社トップの肩の荷は重い。◇幹部「ショック…」 緊急社長団会議を開催か 判決から一夜明けた。サムスン電子をはじめとするサムスングループ主要会社の経営陣は近く緊急社長団会議を開き、李氏不在を受けた対応策などを模索するとみられる。 グループのある役員は「グループ内では執行猶予が付くことへの期待感が大きかったために、判決当日はショックで仕事が手に付かない状態だった」と内部の雰囲気を伝えた後、「現在の危機的な状況を打開するための『プランB(代替策)』づくりに向け、近く社長団が集まる可能性がある」と述べた。ただ新型コロナウイルス感染症対策として、会議の出席者数を最小限に抑えるかテレビ会議方式を取ることになりそうだ。 サムスンの別の関係者は「グループ各社のトップは日常の業務を問題なく進めていくだろうが、投資のような重大な意思決定を総帥以外の専門経営者が行うのは難しい」と指摘。李氏の不在を最小化する方策を探るのではないかと話した。◇収監中も指示へ 李氏はこの事件で2017年2月から1年間収監されていた際も、重要な懸案の報告を受け、一部の意思決定にもかかわったとされる。グループはまず、コントロールタワーだった未来戦略室を解体し、同年7月には平沢の半導体工場(京畿道)生産ラインの完工式で、2021年までに30兆ウォン(約2兆8000億円)の投資を実行すると発表した。 今後も意思決定が急がれる懸案は李氏に報告がいく見通しだ。未来戦略室の解体後に新設された事業支援タスクフォース(TF)の社長で李氏の最側近とされる鄭賢豪(チョン・ヒョンホ)サムスン電子社長、あるいは李仁用(イ・イニョン)対外業務(CR)社長らが真っ先に李氏に面会に行き、対策を話し合うとの見方が強い。 ただ、新型コロナの影響で李氏の一般接見は最短でも4週間先となり、面会も弁護士を通すか電話でのみ可能となるなど、報告する上でも制約が多いと予想される。 サムスンの関係者は「17年には、収監前に決めていたハーマンの買収に関する手続きやすでに投資計画を立てていた工場の増設など、定型的な意思決定だけが可能だった。新たな大型投資や合併・買収(M&A)など新事業確保に向けた長期的な視点での意思決定は厳しいだろう」との見解を示した。 李氏は会社の業務以外にも、昨年10月に死去した父の李健熙(イ・ゴンヒ)会長が残した財産の整理と莫大(ばくだい)な相続税の財源調達という問題を抱えている。一家は相続税の申告・納付に向け、健熙氏が保有していた美術品や不動産などについて専門家による鑑定を進めているが、一部の株式売却といった重要な意思決定も迫られている。 財界関係者は「グループでは執行猶予付き判決への期待感が大きかっただけに、しばらく混乱は避けられないだろう」とした上で、「この機会に総帥不在でもサムスンの競争力が損なわれないシステムを備えるべきだ」と促した。
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