ユン・ソイ の最新ニュースまとめ
この運動は、「万歳事件」と言われていた。滅びた韓国の国旗「太極旗」を振って「大韓独立万歳!」と叫ぶことであったからだ。この事件は、後ほど「大韓民国臨時政府」の成立に大きく影響し、韓国の憲法にも「3・1運動で建立された大韓民国臨時政府の法統」を継承していると明記されている。
この「3・1運動(三一運動)」は、主に満洲で行われていた「武装独立闘争」とは大きく違うところがあった。「非暴力の抵抗」をメインとしたことだ。大日本帝国の官憲に対する暴力を行使せず、「非暴力」をその運動方法としていた。当時、大英帝国からのインド独立運動を展開していたガンディーの思想に影響を受けたとされている。
韓国が儒教の世界観に基づいて日本に対して感じる「序列的な優位」と共に、この「非暴力の抵抗」は日本の統治から独立した韓国が元統治者に対して感じる「道徳的な優位」の根拠となった。つまり、「3・1運動」は「反日の聖域」となっているわけだ。
毎年3月1日には、この運動の発祥地であるソウル鐘路区の「タプコル公園」で盛大な「三一節」記念式典が行われる。現職韓国大統領は必ず参加して、演説を行う。昨日の記念式にもムン・ジェイン(文在寅)大統領が参加し、演説を行ったのだが、日本に対しての言及は過去とは随分と違ったテンションとなり、話題となっている。
しかし、それ以上話題になっているのが、「非暴力」の象徴であるはずの「3・1運動」に対して「暴力性」を主張する韓国人が現れたことだ。時事漫画家のユン・ソイン(尹瑞寅)氏の言葉である。「3・1運動の主催者は日本巡査よりも残酷非道だ」との言葉だ。
ユン氏は1日、自身のSNSで「3・1運動2周年記念行事」の準備に関連する100年前の文書を紹介した。この文書について「日本にとっては非暴力運動、私たち(韓国人)同士は暴力運動だ」と指摘した。文書には、
●熱心に参加しなければ主催者が家を燃やして全員殺す。暗殺する、
●万歳と叫ばなければ殺す、
●もし学校を開校すれば先生は皆殺す、
と書いてあった。
ユン氏はこれに対して「(3・1運動を武力鎮圧した)日本の巡査(警察)よりも残酷非道な3・1運動主催者」とし「(親日思想の)私でも当時なら熱心に参加しただろう」と皮肉った。
3・1運動の非暴力性を習い、誇りにしてきた普通の韓国人なら、この文書の内容が「3・1運動データベース」として公開された当時の文書であることに衝撃を受けるはず。
半島統治期の日本を褒めたりしなくても、「残虐な統治」を否定するだけで「売国奴」扱いになる韓国。しかも、彼が今回触ったのは、その聖域とされる「3・1運動」の「非暴力の伝説」である。前から日本に対して親日性向を見せてきた彼だが、今回ついに「反日聖域」に挑戦する形となった。
文在寅と尹瑞寅、2匹のトラ(寅)が2011年の3・1運動記念日の話題となった訳だ。少しユン氏の経歴をチェックしてみよう。
ユン氏は1974年、韓国生まれ。長い間、教育を通じて「反日」を叩きこまれた世代である。しかし、まだ日本統治時代の体験談が生で聴けた最後の世代でもある。そして、インターネットやSNSを駆使し、意志さえあれば正しい情報にアクセスできる最初の世代でもある。
ユン氏はソウルで中高校を卒業し、コングク(建国)大学の産業デザイン学科に入学した。卒業後にはゲーム会社に就職した。その時代に描いた漫画が社内で人気を増し、現在の作品キャラクターが誕生した。
2004年にはヤフーコリアに入社し、ウェブ漫画の連載を担当していた。その後、保守系のメディアに時事漫画を連載し有名になった。日韓関係に対しては”親日”、政治理念としては”保守”とされている彼だが、「大学時代には進歩系だったが、進歩左派の偽善を感じて保守化した」と自ら明かしたこともある。
写真は彼の作品キャラクターであり、同名の作品集でもある「ジョイライド」だ。副題は、「当然であるが、誰も話せなかった物語」となっている。この副題こそが1919年の「大韓独立万歳!」以上に2021年の彼が叫びたいことかもしれない。
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