根拠の提示や背景についての説明は全くなかった。防疫当局は「スケジュールを従来の範囲内でより明確化したもの」と言葉を濁した。しかし国民の大多数が耳にしているスケジュールをひと月ほど早めることは明らかだ。
問題は新しい接種スケジュールの目標達成が、計画ほど簡単ではなさそうだというところにある。ワクチン自体と政府の定まらないワクチン政策に対する不信がまず障害となっている。その不信は18~49歳の年齢層を対象に進めている接種予約率が60%程度にとどまっていることに表れている。
この年齢層はそれ以上の高齢層に比べ新型コロナに感染しても自身の命や健康に大きな危険を負う可能性が統計上はるかに低いという事実を熟知している。にもかかわらず、一部のワクチンによる副作用のリスクを取ってあえて自主的に「集団免疫獲得の被実験者」にならなければならないのかという思いを抱いている。
これについては政府が彼らの共同体意識の欠如や、社会的責任に鈍感な個人主義のせいにするよりも、彼らの不信感を募らせた点を反省しなければならない。
ワクチンの副作用についての医療対応や補償は国民の期待に応えていない。アストラゼネカワクチンの接種呼びかけの年齢を50歳以上に引き上げ修正をした後、最近になって再び30歳以上に戻した措置も不信を助長した。
ワクチンの確保が一部遅延するなど、まだ不確実な点も、新しいスケジュール目標に対して疑心暗鬼にさせる。モデルナ社が生産計画の狂いを理由に先月、ワクチン供給予定を今月に遅らせたのに続き、今月の供給量を半分に減らすと発表しても、政府は抗議しただけで事実上お手上げだ。
不信の解消のためには政府がワクチン確保に全力を挙げなければならず、ワクチンの副作用に対する国家責任を強化しなければならない。このような方策を含め、新しい接種スケジュール目標の根拠を提示すべきだ。
大統領の国民に対する約束が「希望の拷問」と見なされる状況をこれ以上放置してはならない。
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