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韓国が議長国を務めることで、今後、福島第1原発の処理水をめぐる問題への影響が注目される。
IAEAは原子力の平和利用の促進、軍事的利用への転用防止を目的とし、国連傘下の自治機関として1957年に設置された。北朝鮮の核問題や福島第一原発の処理水の安全性について議論する役割も担っている。
現在173か国が加盟しており、このうち、35か国で構成されるIAEA理事会は年5回開かれ、核の検証や査察などを議論・検証し、全加盟国で構成する総会に勧告する。
理事会の議長国は8地域が持ち回りで務める。今回は日本や韓国が含まれる極東グループの順番。これまで極東グループからは、日本がほぼ一貫して議長国を務めてきた。議長国の任期は来年9月までの1年。
韓国が議長国に選出されたことから、議長はシン・ジェヒョン駐オーストリア兼駐ウィーン国際機構代表部大使が務める。議長は理事会や理事会傘下の委員会の会議を開き、会議前には加盟国間の立場を調整する役割を担う。
今回、初めて韓国が議長国に選出されたことについて外交部(日本の外務省に相当)の関係者は「今や韓国の影響力は大きくなり、日本が事実上独占してきた慣行が望ましくないということをわれわれが考慮した」とした。
また、「外交的努力で、日本を含む他の極東グループからも同意を得た」と述べた。また、「原子力の平和的な利用のためのIAEAの活動に、韓国が積極的に寄与してきたことが反映された」と語った。
韓国紙・朝鮮日報は「韓国が議長国を務めることで北朝鮮の核問題や東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水(処理水)の問題への影響も注目される」とし、「汚染水の海洋放出問題をめぐる国際社会の議論を一層活発に行う可能性もある」と伝えている。
日本政府は今年4月、処理水を基準以下に薄めた上で2023年春ごろに海洋放出する方針を決定。これに韓国は反発を続けてきた。処理水の安全性を検証する目的で12月に派遣される見込みのIAEAの調査団に、韓国は自国からも原子力安全の専門家を参加させたい意向を示し、認められた。
21日のIAEAの年次総会では、韓国の代表は「利害関係国と十分な協議を行わず、決定を推し進めていることに深い遺憾の意を示す。決定を再考するよう求める」と日本を批判した。
これに対し、在ウィーン日本政府代表部の引原毅大使は「海洋放出は技術的に実現可能で、国際的慣行に一致するとIAEAは認めている」と反論した。
また、総会で韓国は、前述の調査団派遣について「客観性、透明性、安全性を確保するためIAEAの役割は重要。韓国は海洋放出の監視活動に引き続き参加したい」と改めて意欲を示した。
議長国に選出された韓国が、今後、中立性や客観性を維持しながらどのように海洋放出の問題に向き合っていくのか注目される。
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