岸田文雄首相はきょう(8日)就任後、初の国会演説をしたが、この日の演説文の内容には「冷え切った日韓関係」に対する速やかな変化の可能性を見出すことはできなかった。

韓国を「重要な隣国」と表現したが、関係回復のための先制的な措置の意志は示されず、内容の量や表現も他の国々に比べて少なかった。

岸田首相はこの日の午後、所信表明演説で「韓国は重要な隣国だ。健全な関係に戻すためにもわが国の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めていく」と語った。

演説は約6900文字の量であったが、韓国に関する言及はこの2つの文だけであった。

昨年10月の菅義偉首相(当時)の時は「韓国は『極めて』重要な隣国だ。健全な日韓関係に戻すべくわが国の一貫した立場に基づいて、適切な対応を強く求めていく」と語っている。

今回、岸田首相の演説は、菅前首相の演説にあった「極めて」を外したものとなった。

ただ菅前首相は、ことし1月の国会での施政演説で「韓国は重要な隣国だ」として、すでに「極めて」を外していたため、岸田首相はこれを繰り返したともみられる。

今回の演説では、米国・北朝鮮・中国・ロシアなど日本の主要外交相手国の中で、韓国は一番最後に言及された。

外交関係者のある人物は「菅前首相は韓国の重要性を岸田首相よりも強調していたが、日韓関係においては目立った進展がなかった」と指摘し「単語や表現の細かい変化に対して、過度に意味付けする必要はない」という見解を語った。

岸田首相の「わが国の一貫した立場に基づき韓国側に適切な対応を強く求めていく」という発言は「過去の歴史問題に関する両国の対立に対する日本政府の態度に変化はない」ということを示唆したものだとみられる。

また「一貫した立場」というのは、「徴用工問題などは、1965年の日韓請求権協定により完全に解決された」という日本政府の主張を意味するものとみられる。

特に慰安婦問題の場合、「2015年の日韓外相合意により全て解決された」というのが日本側の認識である。岸田首相は当時の合意の当事者であった。

岸田首相は「全て終わったことを問題視しているのは韓国側であり、この2つの事案の裁判と後続手続きは全て国際法や国家間の約束違反だ」という日本政府の見解を示したのである。

日本政府はこれまで「これらの問題の解決法を韓国が提示すべきだ」と要求してきたが、このような態度は変わらないということが、今回再確認されたものと解釈できる。

韓国政府は「日本と額を合わせて解決法を見出そう」という立場であるが、日本は「我々が受け入れることのできる解決法を韓国が持って来い」という態度を固持していることから、対話がこれ以上進展しないという状況である。

このことから、安倍晋三政権・菅政権で形成された日韓関係の膠着は、当分の間続くことが予想されることになる。

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