韓国では6月1日に行なわれるソウル市長選挙を控え、新たなテーマとして浮上している「国連第5本部」誘致論争をきっかけに、改めてこの問題を考えてみることにする。
世界10位の経済力をもち、6位の軍事力・6~7番目の通商大国などの地位を備えているが、依然として分断状態であるため常時 “コリア・ディスカウント”というくびきにつながれている韓国、Kポップ・Kドラマなど強力な文化コンテンツにより無視できないソフトパワーをもっているが、いまだ開発途上国へのODA(政府開発援助)などでは活躍できず、難民問題などでも保守的な国、全般的に国の体格は大きくなったが、それに見合う国際的役割ができずにいる国など、様々な見方があるだろう。
それでは、それらを反対にして考えてみてはどうだろうか。分断状態のため持っている力をきちんと発揮できずにいる国、戦争の脅威に常に晒され相対的に縮こまっていた国であるため、むしろ世界に向けて積極的な平和と協力のメッセージを発信できるのではないだろうかというようにだ。
ウィーンに誘致した国連本部には、現在5000余人の人材が常駐しており、毎年5000余回以上の国際会議が開かれる。これにより創出される経済効果も莫大ではあるが、何よりも中立国であるオーストリアは「平和仲裁者」としてのイメージを得ることになる。ところでウィーン国連本部は、ウィーン市とオーストリア政府の積極的な誘致努力があったからこそ可能であった。1967年からすでに国連都市設立計画を立て、絶えず国連を説得してきた結果である。
世界人口の40%が住み、国際通商交易量の半分近くが行き来しているアジア・太平洋地域にも、いまや「国連第5本部」が設立されるべきだ。そして国連本部が設立されるなら、戦争と分断の脅威を克服し、全世界に平和と協力のメッセージを発信することになる韓国、そしてその中心のソウルに設立されるのが適切ではないだろうか。
チョン・ボムグ元国会議員
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