ビール界の伝説と呼ばれるギャレット・オリバー(Garrett Oliver)の言葉だ。彼はビールに“フードペアリング(Food Pairing、最もよく合う食べ物の組み合わせ)”の概念を初めて確立した有名なビール醸造士(ビール製造と品質を管理する人)だ。
近年、ビールにふさわしい食べ物の“ペアリング”が広がっている。家で酒を飲む「宅飲み」文化の拡大で“美食”トレンドがビールにも現れたのだ。トレンドの初期であるだけに、注目されるペアリングは真似やすい簡単な組み合わせだ。
◇「色を合わせてみて」…ビールの色に合わせたおつまみ
韓国農水産食品流通公社(aT)は2021年の酒類市場トレンド報告書を通して「宅飲みをする時は女性・男性ともにつまみに気を使う共通的な特徴がある」と分析した。
トレンドとして浮上したが、「ビールにはピーナッツ」またはホープ屋の“何でも”というおつまみメニューを選んできた韓国人には、ペアリングフードが容易ではない。ギャレット・オリバーの推薦通り、最も簡単にペアリングフードに近づく方法は別名“色合わせ”だ。例えば、濃い茶色のビールは濃い茶色のコーヒーが入ったパンや、チョコレートが入ったブラウニーなどと合わせる方式だ。ビール専門家によると、ビールの色は麦芽を強火で長く焼くほど暗くなる。焦がした麦芽を活用して濃い色を出すスタウト(Stout)のビールはコーヒーやチョコレートなどの風味が強いため、このような種類の食べ物が入ったデザートと合う。また、牡蠣とも相性がいい。アイルランドの黒ビール・ギネス(Guinness)が盛大な牡蠣祭りの主要スポンサーである理由でもある。
味の強さを合わせるのも方法だ。グローバル公認ビール専門家の資格(Certified Cicerone)を保有している済州ビールのマーケティング教育マネージャーであるキム・ソンウォン氏は「ビールも一つの食べ物のように、他の食べ物との“マリアージュ(Mariage、食べ物の相性)”を考えながら飲むものだ」とし、「3C」に要約される3つのチップを紹介した。まず、甘酸っぱい食べ物と香ばしいビールの組み合わせのように、互いに△対比する特徴で強調する(Contrast)、淡白な食べ物と香り豊かなビールの組み合わせのように、互いに△補完材として楽しむ(Complement)、脂っこい食べ物と塩味のあるビールの組み合わせのように、口の中に残った味を△きれいに整理する(Cleanse)方法だ。“強調”ペアリングの例としては、アンバーラガー類のビールは炭酸が豊かで味が爽やかなので、逆の性格を持つ濃厚なチーズ味のピザやハンバーガー、プレッツェルなどと合う。
クラフトビール(Craft Beer、手作りビール)はラガー(Lager、10度以下の低温で発酵し、軽い風味と清涼感が特徴)よりも味と香りが強いため、つまみなしで単独で飲まなければならないというのも先入観だ。韓国国内のクラフトビール市場をリードしている済州ビールの関係者は「クラフトビールは味と香りが千差万別であるだけに、似合う食べ物もまた非常に多様だ」として、「ギャレット・オリバーがレシピ開発に参加した『済州ウィットエール』はミカンの香りの後味や済州島の郷土料理である黒豚の焼き肉やブリの刺身など重い食べ物とよく合い、『済州コモンエール』はステーキのような濃厚な風味の肉料理と合う」と話した。
クラフトビールとして親しまれているエール類(ラガーより味と香りが濃い)を見ると、イーストIPA(India Pale Ale、ホップを多く入れたエールビール)はバランスの取れたほろ苦さが特徴で、メキシカンフードやトッポッキなどピリ辛の食べ物とバランスがよく合う。ウィットエール類は特有のまろやかな味わいで、脂っこく重い料理に合う。ペールエール類は濃くてほろ苦い味が特徴で、濃い味と似た強度を持つトゥルチギ(豚肉とキムチ、野菜を煮込んだ料理)やヤリイカの刺身、刺身の和え物など辛い料理が最適だ。
◇「面倒くさい」のために初めからペアリングに合わせてくれたビールたち。
初めから“ペアリング”に合わせて発売されたビール商品もある。フードペアリングが難しい人のための“フードペアリング専用製品”の登場だ。韓国のチキン会社・BBQと手を組んだ済州ビールは、チキンとビールを合わせたという意味の商品名である『チアーズ』を販売した。チキンの脂っこい味をビールが取り除けるように熱帯果物の爽やかさを加えた。キョチョンチキンもセブンイレブンと手作りビール『チメク』を披露した。
オットゥギとアメージングブルーカンパニーが協業した「ジンラガー」の場合、日本人がラーメンを食べながらビールを飲む文化に着眼し、ラーメンに合う香ばしくて深い味を具現したという説明だ。三養(SAMYANG)食品と手作りビールスタートアップ企業であるザ・サテライトブルーイング(The Satellite Brewing)が作った『プルダックマンゴーエール』は、辛いプルダック炒め麺と合うようにさわやかなマンゴー原液をビールに添加した。業界関係者は「酒でも美食性向が強くなり、フードペアリングは新しい商品と消費者が生み出す組み合わせを通してより一層多様になるだろう」と話した。
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