権氏は北東部・カンウォンド(江原道)・カンヌン(江陵)選出の国会議員4期目で、今年4月、所属議員102人が出席して行われた選挙に当選し、院内代表となった。尹大統領が政界入りした昨年からは、間近でサポートするなど、ユン氏の中核的な側近とされている。
権氏は先月、イ・ジュンソク(李俊錫)党代表が党の倫理委員会から6か月の党員資格停止処分を受けたことから、党代表職務代行を兼務することになった。李氏は、過去に受けた性的接待の証拠隠滅を教唆した疑いがあり、これを受けて処分が下された。
権氏をめぐっては、大統領室に勤務している職員の中に、尹大統領の40年来の知人の息子2人が含まれていたことが「コネ採用」と批判が上がる中、「私が推薦した人事」などと発言。後に「『縁故採用』と物議を醸していることについて国民にきちんと説明することを優先すべきだったが、私の発言で事が大きくなってしまったのは、全くもって私の不徳の致すところ」と謝罪した。
また現在、尹大統領から通信アプリを通じて権氏に送られたメッセージが波紋を呼んでいる。尹大統領は「わが党もよくやっていますね」「内部射撃なんかを繰り返していた党代表が後退してから変わりました」などと党員資格停止中の李党代表への批判とも受け取れる文章を送信していた。メッセージ中の「内部射撃」との表現は、李氏がこれまで尹大統領の側近を含む党幹部らへの批判を繰り返していたことを示すものとみられる。
メッセージは記者団の国会の取材カメラが権氏のスマートフォンの画面を捉え、やり取りが流出した。権氏は「理由を問わず、党員同志たちと国民に心配をかけて申し訳ない」と謝罪。このメッセージにより、尹大統領の李氏に対する認識が確認されたとして党内に衝撃を与えたが、権氏は尹大統領が過去に李氏への不満などを漏らしたことは「全くない」と否定した。
党内では党の刷新を求め最高委員が相次いで辞任するなど、李氏に懲戒処分が下されて以降、混乱が続いており、そんな中、権氏のリーダーシップを問題視する声も日に日に高まっていた。権氏は7月31日、自身のフェイスブックに「党が厳しい危機に直面した。党代表職務代行として責任を痛感する」として、党代表職務代行を退く考えを明らかにした。ただ、院内代表職にはとどまる。また、党を非常事対策委員会体制に移行することを明らかにし、「一日でも早い党の収集が必要ということに賛同する。早期の非常対策委員会体制への転換に向けて、あらゆる努力を傾けたい」とした。
こうした混乱に、野党「共に民主党」からは早くも批判が上がっており、同党のウ・サンホ緊急対策委員長は7月31日、「執権与党の収拾能力は地に落ちた」とし、「国民の懸念が高まっている。経済と民生の危機なのに、執権与党内部の収拾能力が懐疑的なレベルになっている」と指摘した。
政権発足後、3か月も経たぬ間に厳しい状況となっている「国民の力」だが、聯合ニュースは「非常対策委員会体制への移行も順調には行かないものとみられる」と伝えている。
一方、世論調査会社の韓国ギャラップが7月29日に発表した調査結果によると、尹大統領の支持率は28%で、5月の就任以来初めて30%を下回った。執権与党の混乱で、尹大統領の政権運営がさらに厳しいものになることが予想される。
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